クイントオーラルインフォメーション2025
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ク イ ン ト ・ オ ー ラ ル ・ イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン  本インタビューでは、2025年度から日本臨床歯周病学会理事長に就任された石谷昇司先生に、理事長として成し遂げたいことや学会として果たすべき役割に加えて、 7 月に広島県で開催が予定されている日本臨床歯周病学会第43回年次大会の見どころについて語っていただいた。――理事長に就任されるにあたっての抱負や取り組みたいことをお聞かせください。石谷 日本臨床歯周病学会は、川崎仁先生が初代代表幹事となり1983年に臨床歯周病談話会として発足し、健康保険に歯周病治療の導入を提案するなど、日本の歯周治療の発展の一翼を担ってきました。発足からおかげさまで43年が経ちましたが、本学会を取り巻く環境には大きな変化が生じているように思われ、今一度、本会の役割を再評価する時期に来ていると考えています。 その 1 つが、超高齢社会の進行です。労働力人口が減少していくなかで、どの学会も会員数の減少は喫緊の課題です。そのため、1990年日本大学松戸歯学部卒1990~1998年医療法人社団愛歯会勤務1998年~現在地にて開業所属日本歯周病学会歯周病専門医/日本臨床歯周病学会歯周病指導医/AAP(米国歯周病学会)会員/臨床歯科研究会歯考会顧問/東京科学大学歯学部非常勤講師2QUINT ORAL INFORMATION理事長を務めさせていただくからには当然、会員数を増やすことがいちばんの課題になります。幸い本学会は歯科衛生士を中心に徐々に会員数は増加しています(図)が、若手の歯科医師や、歯科衛生士の会員をできるだけ増やすために活動をしていきたいと考えています。 そのための施策としては、若手の歯科医師向けにInstagramやLINE、TikTokなどSNSでの情報発信に力を入れようと思っています。本会の若手歯科医師に積極的に学会にコミットしてもらい、会員以外の先生方にも魅力的な学会であることをPRできるのではと思っております。他には現在、企画を進めている年次大会から具体的な施策を実現していくことになりますので、後述の年次大会の見どころにて示させていただきます。 もう 1 点取り組みたいことは、学会としての中長期的なロードマップを策定することです。これまでは、長期的な目標がなく理事長が変わるたびに各々の問題意識により活動方針を決めていました。それは悪いことではありませんが、組織が大きくなるなかでどうしてもさまざまな委員会が 1 つの目標に向かうことが難しくなっているように感じています。たとえば、歯周病患者を減らすための方策や、歯周病患者をいかにして把握するか、歯科診療報酬改定への要望などについて、学会としての具体的な方向性を策定できれば、これまでの活動がより継続的に徹底できると思います。――日本臨床歯周病学会第43回年次大会の見どころを教えてください。石谷 今回は 7 月26日、27日に、「ペリオサミット 2025 in 広島~重度歯周炎 Stage Ⅳへの挑戦~」のテーマを掲げ、広島国際会議場で開催されます。Stage Ⅳという皆様が非常に悩む歯周病重症患者に対する治療がメイントピックスであり、皆様のご期待に沿える内容になるかと思われます。 そのなかで、前述の若手の歯科医師や歯科衛生士向けに私が提案させていただいたのが、ハンズオンの実施です。これまで支部単位で行っていたことはありましたが、今後は毎年の年次大会でも行い、かつ各支部でも開催してもらいたいと思っています。本大会では、長谷川嘉昭先生(東京都開業)、水上哲也先生(福岡県開業)に講師をお願いし、白石和仁先生(福岡県開業)、北島一先生(静岡県開業)をスーパーバイザーとし、「歯周外科のテクニックを向上させるためのハンズオン」をテーマに行う予定です。やはりわれわれは臨床医が集まる学会であり、優れた指導者が多数在籍しておりますので、その特長を生かして、“できるだけ安価に、できるだけ若手の歯科医師のためになる内容 ”で今後も行っていきますので、ご期待ください。 さらに、学生プログラムも計画しています。2008年にシアトルで行われたAAP(米国歯周病学会)に私が初めて参加した際に、ハンズオンとともに学生プログラムも実施しており、学生が普通に若手の歯科医師や歯科衛生士の会員を増やすために継続的な活動を行う日本臨床歯周病学会理事長 石谷昇司東京都開業 石谷歯科医院若手の歯科医師のためのハンズオンや学生プログラムを実施理事長就任にあたって考える日本臨床歯周病学会の役割の再評価

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