ク イ ン ト ・ オ ー ラ ル ・ イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン 安斉昌照 Masateru ANZAI医療法人社団 OHP あんざい歯科医院院長・歯科医師安達奈穂子 Naoko ADACHI東京科学大学大学院医歯学総合研究科口腔疾患予防学分野講師・歯科衛生士図 1 微粒子可視化システムの高感度撮影による歯科治療中の水や唾液の飛散のようす。(文献 4 より許可を得て掲載)図 2 空気中浮遊細菌の減少率。診療開始 40 分後の超音波スケーリング時の空気中浮遊細菌は 5%アルコール水では 12.9%に対し、エッセンシャルオイル配合洗口液では 91.3%の減少が認められた。(文献 5 より引用改変)術前洗口が不安を安心に変えるQUINT ORAL INFORMATION8安斉安達安斉安達そうですね。日本では洗口液はあまり普及されていなかったなかで新型コロナウイルスが1 つの契機になったと思いますが、海外ではもっと前からスタンダードだった感覚があります。15 年ほど前、診療所に勤務していた頃にスウェーデンやアメリカへ研修に行ったのですが、患者さんはあたりまえのように術前洗口されていました。文献をみると、1960 年代には術前洗口の有効性を示唆する論文 1 が発表されており、その後も何本かのシステマティックレビュー 2,3 が出ています。術前洗口は、コロナ禍を経てその重要性が語られる機会も増えたかと思いますが、当院でも取り入れています。じっくり洗口する方から、ササッと軽くゆすいで終わりという方もいて人それぞれですが、やはり口腔内がスッキリした状態で治療を受けられるというのは患者さんにとっても安心なようです。私が所属している大学病院でも、新型コロナウイルスをきっかけに院内の感染対策等を取り仕切る感染制御部を主導に院内感染対策マニュアルが見直され、歯科部門における診療開始前の口腔内消毒・含嗽についての規定が統一されました。このように統一された取り組みがあることにより、患者さんはもちろん、術者の安心にもつながっていると感じます。安心・安全のために取り組みやすい方法で習慣づける……。クリニックのための洗口液ではじめる患者さんも術者も安心できる医療
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