宗像源博Motohiro MUNAKATA昭和大学歯科病院インプラントセンターセンター長昭和大学歯学部インプラント歯科学講座教授歯科医師49本特集は、東京都歯科医師会雑誌で掲載された筆者の論文1をふまえて、歯科衛生士向けに加筆・改変を行ったものである。[後編] インプラント周囲炎Q&AP.50Part1 歯周炎と同等には語れないインプラント周囲炎P.53Part2 生物学的幅径を確保するのが重要な理由次号掲載予定November 2024 vol.48はじめに 歯科衛生士が「インプラント周囲炎」という言葉を聞くと、①歯周病細菌が原因であること②プラークコントロールの徹底が予防も含めて大事であること③メインテナンス時には、プロービングによるBOPや排膿の有無、口腔清掃状態をチェックすることを想像すると思います。たしかに「インプラント周囲炎」という言葉の定義は、上部構造装着後に生じた細菌感染による骨吸収を意味しますが、実際の診療の現場において、上部構造を装着するまでの間に骨吸収を生じていたり、隣在歯の状態がまったく問題ないのに、インプラント周囲だけ骨吸収が生じていたり、プラークコントロールが良好なのに発赤や腫脹があったり、BOPが+であったりするケースに遭遇したことはないでしょうか? 本稿では、インプラント周囲炎(周囲骨吸収)が本当に歯周炎のように歯肉溝からの細菌感染(侵入)のみで生じるのか、プラークコントロールのみで予防できる疾患なのかなどの疑問に関して、歯周炎との根本的な違いとその原因と対応を中心に前後編を通じて解説していきます。プラークコントロールのみで予防できる疾患なのか?プラークコントロールが良好なのに、発赤や腫脹、BOPがみられるのはなぜか?Contents[前編] 細菌感染以外の要因で生じる骨吸収を知る最新情報
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