a顎関節症状がなく、筋・筋膜炎による開口障害と診断した場合、マッサージと合わせて開口ストレッチを行う。三横指そろえ縦にして、指先から口腔内にゆっくり挿入する。b第二関節まで挿入したらそのまま10秒カウントする。1月号3Level2Level1Level*本特集で掲載している口腔内写真について、撮影時の状態をそのまま見せるために、あえて反転していないものもあります。 せっかく撮影するのであれば、さまざまな場面で活用しやすい写真を撮りたいところですが、まずは規格性のある写真を理解することが大切です。「症例は戻ってこない」と院長から記録することの大切さを教わった筆者が、日々の臨床で気づいた自分なりのコツをご紹介します。少しでも参考にしていただければ幸いです。こんなときにも!P.32こんなケースはどうする?P.29January 2024 vol.48212023/12/13 9:35P020-039_DH01_toku1.indd 212023/12/13 9:35特集1はじめにAPPE_P020-039_DH01_toku1.p1.pdf今までより、もっとレベルアップ!口腔内写真の活用難しい条件下の撮影APPE_P020-039_DH01_toku1.p2.pdf 今から20年ほど前までは、口腔内写真と言えばフィルムを用いた撮影で、画像が仕上がるのに通常1週間、急いでもらっても翌日と、とても時間がかかっていました。画像の良し悪しの判定はピント、画角、構図、色調などですが、撮影後すぐに画像の確認ができなかったため、1枚1枚撮影するのに苦労したそうです。 しかし、現在はデジタル化が進み、現像の必要がなくなり、画像の確認も瞬時にできる便利な時代になりました。それだけでなく、画像の編集や複製などもコンピューターがアシストしてくれるため、患者さんへの説明、経過観察、院内でのシェア、フィードバックなど、幅広く活用できるようになりました。このように、口腔内写真をうまく活用することで、患者さんとの信頼関係の構築や、質の高い医療の提供ができるなど、口腔内写真でしかできないパフォーマンスが可能になります。 一方で、当院へいらっしゃる初診の患者さんの中には「口の中の写真を撮るのは必要ですか?」、もしくは「口の中をカメラで撮られるのは初めてです」とおっしゃる方も少なくなく、患者さん、歯科関係者ともに口腔内写真撮影の重要性をまだ理解していないのではと思うことがあります。また、定期的に撮影はしているものの、難しくて思うように撮影できない、撮ったきりになってしまってどう活用していいのかわからないなど、悩んでいる方もいらっしゃるのではないかと思います。ちょっとしたコツで変わる!規格性のある口腔内写真撮影P.22清水里香Satoka SHIMIZU岩野歯科クリニック[東京都]歯科衛生士[監修]岩野義弘Yoshihiro IWANO岩野歯科クリニック[東京都]院長・歯科医師Illustrator:大寺 聡20P020-039_DH01_toku1.indd 20岩野義弘図1 咬筋マッサージ咬筋、側頭筋を触診し、圧痛の有無と痛みの大きさを記録する。図2 咬筋ストレッチ今までより、もっとレベルアップ!口腔内写真撮影・活用テクニック規格性のある写真を撮影するためのちょっとしたコツや、口が開けにくい・嘔吐反射が強いなど難しい条件下での撮影方法について、写真や動画をふんだんに使って解説いただきました。口腔内写真撮影 ・活用テクニック撮影 ・活用テクニックab1月号P.29で口が開けにくい方の撮影法について「咬筋マッサージをしながら撮影」とありましたが、具体的に知りたいです。また、顎関節症で側方ミラーも入らないような方や頬粘膜が伸びにくい方などもいますが、そのような場合はどう対応されていますか? 開口量が少ない患者さんの場合、まずは何が原因で口が開けづらいのかを検査します。最初に行うのは顎関節症の検査です。開閉口運動における関節頭の動きの触診や、撮影したCBCT像の分析、場合によってはMRI撮影画像を基に、顎関節の状態を評価します。 非復位性関節円盤前方転位のように、顎関節症によって開口量が制限されている場合には、まずはその治療を優先し、口蓋側面観や舌側面観など大きな開口が必要な部位の口腔内写真撮影は控え、正面観や側方面観などに限定して撮影を行います。 顎関節に大きな問題がないにもかかわらず開口量が制限されている場合には、筋・筋膜炎など咀嚼筋の炎症によって開口障害が生じている可能性を考えます。咬筋深部ならびに浅部、側頭筋、および顎二腹筋の触診を行い、咬筋や側頭筋に疼痛部位があった場合には、理学療法として同部のマッサージを行います(図1)。場合によっては短時間で開口量が増加することもあります。また、縦に三横指口腔内に挿入することによる咬筋ストレッチ(図2)は、64岩野歯科クリニック[東京都]歯科衛生士岩野歯科クリニック[東京都]院長・歯科医師短期で開口障害を改善できる可能性があるため有効です。その場合、ストレッチを1時間に1回など短期間繰り返させ、 1、2週間後に開口障害が改善した段階で口腔内写真撮影をします。これらのマッサージやストレッチは温おん罨あん法ぽう後に行うとより効果的です。 このような検査は、顎関節症の診断だけではなく、無理のない口腔内写真撮影が可能か判断する材料にもなります。また、患者さんにマッサージやストレッチを続けていただくことで開口痛などが緩和し次第にスムーズな口腔内写真撮影が期待できます。TOPICQ1原因をふまえたうえで、適切な治療やマッサージなどを行います。清水里香A1読者の皆さんからいただいた質問に、各特集の著者の先生方に答えていただく毎年恒例の人気企画。今回は、2024年上半期(1~3月号)の特集・TOPICへの回答をお届けします。(編集部)Illustration:石山綾子、高村あゆみ、飛田 敏開口量が少ない患者さんの対応についてもう少し詳しく知りたいです。読者が本当に聞きたい
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