歯科衛生士 2024年12月号
5/9

4月号Illustration:関上絵美・晴香2024/03/12 9:26特集2APPE_P048-059_DH04_toku2.p1.pdfCONTENTS知識編P.50PART1 根面う蝕発生のメカニズムを理解しようP.52PART2 根面う蝕がやっかいだと言われる7つの理由 わが国では少子高齢化が予測以上に急速に進んでいます。また、25歳未満の若年者においてう蝕が減少している一方で、高齢者では根面う蝕が増加しています。このようなう蝕のパラダイムシフトが起き始めたことで、根面う蝕が注目されるようになっています。 しかし、根面う蝕には依然として信頼できるエビデンスが少なく、対処法が確立されていないのが現状です。さらに、修復・補綴治療の成績が思わしくなく、多くの歯科医療従事者が根面う蝕への対応に苦慮しています。 そこで本特集では、根面う蝕のマネジメントに必要な知識と実践法について取り上げます。前編となる今回は、根面う蝕の原因、発生のメカニズム、進行プロセスに関する知識と、根面う蝕がやっかいだと言われる7つの理由を中心に解説いたします。実践編(6月号掲載予定)PART3 根面う蝕を早期発見するために知っておきたいことPART4 根面う蝕への対応法PART5 歯科衛生士が知っておくべき根面う蝕の臨床例*掲載内容は変更になることがあります。久保至誠Shisei KUBO福岡歯科大学臨床教授歯科医師48P048-059_DH04_toku2.indd 48根面う蝕のマネジメント知識編久保至誠 福岡歯科大学臨床教授・歯科医師 4月号P.56で紹介したように、根面う蝕の活動性は色調、表面性状と硬さによって評価されますが、とくに硬さに重点が置かれています(表1)。なかでもレザリー(皮革様)の評価は、懸念されているように歯を傷つけることを避けられませんし、その評価は客観性と精確性に欠けます。また、さまざまなステージのう蝕が混在していることも多く、このようなケースにおける標準的な判定法や診断法は確立されていません。したがって、臨床の現場では苦慮している歯科医師、歯科衛生士が多いと推測します。 筆者は、探針を用いた触診を行う代わりに、口腔内写真を定期的に撮影しながら時間軸で診て判断することにしています(図1)。もちろん、明確な基準があるわけではありません。修復物の再治療もそうですが、根面う蝕に対する処置の意思決定(非切削マネジメントか切削をともなう修復か)にも歯科医師の考えが大きく影響しています。受動的(消極的)なタイプの筆者のう蝕治療における方針は、定期的に受診される患者さんに対する場合、歯冠部、歯根部にかかわらず、う蝕の疑いはう蝕として非切削でのマネジメントを行いながらの経過観察です。う窩をともなわな72早期発見がカギになる根面う蝕のマネジメント[知識編]いう蝕(不顕性う蝕は除く)に対しても同様です。辺縁着色、変色、辺縁不適合、二次う蝕など主訴のない修復物のトラブルの場合も経過観察で、切削介入するとしても再研磨か補修修復で済ますことを基本にしています。 臨床経験と研究成果により上記の方針に至りましたが、MID(Minimal Intervention Dentistry for Managing Dental Caries)の理念にも沿っていると確信しています。今後も口腔疾患の重症化予防が推進されていくと思われるので、う蝕活動性や進行の評価に関する研究が望まれます。早期発見がカギになる評価基準先端が鈍な探針でも容易に刺入でき、引き抜くときに抵抗感がない鋭利な探針は刺入できるが、引き抜く際に抵抗感がある鋭利な探針でも刺入できない。周囲の健全歯根面と同程度の硬さ5年後10年後16年後「長期に管理する場合は、独自の基準を決めておく」とありましたが、たとえばどのようなものでしょうか?また、硬さを確認する際、表層下脱灰があったら崩してしまいそうで怖いのですが、エクスプローラーの動かし方などコツがあれば知りたいです。高齢者において根面う蝕が増加している一方、信頼できるエビデンスが少なく対処法が確立されていない現状を受け、まずは[知識編]として根面う蝕の原因や発生のメカニズム、進行プロセス、歯冠部う蝕とどう異なるのか特徴をまとめてもらいました。初診時表1 根面う蝕の硬さの評価基準とう蝕活動性硬さソフト(軟らかい)レザリー(皮革様)ハード(硬い)図1 根面う蝕の変化(2004年初診時54歳・男性)う蝕活動性活動性活動性または非活動性非活動性読者の皆さんからいただいた質問に、各特集の著者の先生方に答えていただく毎年恒例の人気企画。今回は、2024年上半期(4~6月号)の特集への回答をお届けします。(編集部)Illustration:オカヤイヅミTOPICQ1筆者は探針を用いる代わりに定期的に口腔内写真を撮影し、時間軸で判断しています。A1根面う蝕の活動性の評価で「硬さ」はどのように判定しますか?読者が本当に聞きたい

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る