歯科衛生士 2025年1月号
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 近年、ナッジ理論が医療・健康分野で注目を集めています。ナッジ理論とは、行動経済学のリチャード・セイラー教授によって提唱されたもので「選択を禁じることも、経済的インセンティブを大きく変えることもなく、人々の行動を予測可能な形で変えるアーキテクチャー(環境設計)のあらゆる要素」と定義されています1。2017年にセイラー教授がノーベル経済学賞を受賞したことで、ナッジ理論が一気に注目されるようになりました。 「ナッジ(nudge)」とは、「ひじでやさしく押したり、軽く突いたりする」という意味5ですが、セイラー教授らによれば、「ヌッジ(noodge)」と「ナッジ(nudge)」を混同しないように注意を促しています1。何かのやり方を変えるようにと「ヌッジ(noodge:うるさく小言を言う)」されたときよりも、「ナッジ(nudge:ひじでやさしく押す)」されたときのほうがずっと良い結果を導くものです。 ナッジ関連の書物では、ゾウの親子のイラストがよく掲載されますが1,5,6、このように子どものゾウを親のゾウが鼻でやさしく押して誘導するようなイメージです。80無意識な行動=習慣にアプローチするためのヒントは、行動科学?!いったいどのようなものか、詳しくみていきましょう。STEP手を引っ張るのではなく、背中をそっと押すうまくいくヒケツ?!“ナッジ理論”をおさえよう

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