歯科衛生士 2025年1月号
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約30年、40本/日Saika Miyaji吉武歯科医院[神奈川県]歯科衛生士January 2025 vol.49 喫煙や糖尿病は歯周病のリスク因子に挙げられ1-3、それらのリスク因子を改善するためには禁煙、適切な食事、適度な運動などによる生活習慣の改善が必要ですが、けっして容易ではありません。生活習慣を改善するためには、適切な知識の提供を行い、行動変容を促すことが必要です。 本症例では、歯周基本治療中に一方的な制限、禁止をするのではなく、患者さんの性格や生活背景を考慮し、寄り添いながら知識の提供を行うことで、歯周組織の改善だけでなく健康意識が改善し、禁煙、HbA1cの数値などの改善も見られたので報告します。 患者さんは69歳の男性で、2週間前から右下の歯に痛みがあるとのことで来院されました。以前は当院で3ヵ月に1度の定期検診を行っていましたが、面倒になられたとのことで8年前に来院は途絶えていました。補綴治療のデータは当院になく、本人も詳しく97症例をシェアして、ステップアップ!初診時の患者の基本情報宮路彩花さんはじめに8年ぶりに来院された患者さん年齢、性別主訴現病歴現症歯科的既往歴全身的既往歴全身状態服薬喫煙歴家族歴職業今回症例を紹介してくれるのは……●臨床経験年数:7年目●2018年宮崎歯科技術専門学校卒業●28歳●勤務形態:常勤●所属学会・スタディグループ:日本歯周病学会(認定歯科衛生士)、日本臨床歯周病学会、奥山会、スタディグループASC●医院紹介:当院は日本歯周病学会専門医の副院長を中心に、「健康、清潔、心」を医院コンセプトとし、予防、歯周治療、歯科訪問診療を通して、かかわった地域の方々の健康を支えられる歯科医院を目指しています。[キーワード]禁煙支援、非外科的歯周治療、Ⅱ型糖尿病69歳(2019年再初診時)、男性右下の歯が痛い2週間前から咬合時に痛みがあった歯肉に発赤、腫脹を認める8年前まで当院で3ヵ月に一度の定期検診を行っていたが、治療データは当院にほとんどなく、本人もいつ何を治療したのか詳しく覚えていない。高血圧、Ⅱ型糖尿病、高脂血症、腎症HbA1c8.2%、空腹時血糖150mg/dL、体重81kgアダラート錠(ニフェジピン)、アマリール錠(グリメピリド)、コレバイン錠(コレスチミド)、メトグルコ錠(メトホルミン塩酸塩)父親は糖尿病の既往があり、総義歯。母親は残存歯が少なく義歯を使用しており、心筋梗塞にて他界。不動産業(経営者)誌上Ⅱ型糖尿病と喫煙を有する広汎型慢性歯周炎ステージⅢグレードBの患者に対し非外科的歯周治療を実施し改善した一症例

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