68 本編に入る前に、まずはCBCTの位置づけを再確認するために、エックス線写真も含めた診断の全体の流れをまとめます。 診断の手順として、まずパノラマ・デンタルエックス線写真を使って全体の概要を把握することが重要です。当院では、まずパノラマエックス線写真を使用して現状の問題点を抽出しています。パノラマエックス線写真の利点は、1枚の画像ですべての歯、歯周組織、顎関節、上顎洞などを捉えられるため、主訴を迅速に確認できる点にあります。その後、1本1本の歯の問題をより詳しく把握するために、デンタルエックス線写真を撮影します。 しかし、デンタルエックス線写真では確認しきれない情報も多く、こうした場合にはCBCTを使用することで、従来の方法では得られなかった詳細な情報を得ることができます。CBCTでは、任意の断面から見たい角度で詳細な画像を確認できるため、特にデンタルエックス線写真では把握しづらい部分や見落としやすい病変を見つけるのに有効です。 このように、パノラマエックス線写真で全体像を捉え、デンタルエックス線写真で詳細を確認し、それでも不十分な場合にはCBCTを活用することで、より正確な診断が可能となります。 読影を行う際、正確な診断を行うためには、パノラマやデンタルエックス線写真に加え、歯科用CBCT(歯科用コーンビームCT、Cone Beam Computed Tomography、以下CBCT)を有効に活用することが重要です。CBCTでは任意の断面を切り取ることができ、術者が見たい部分を見たい方向から確認することができます。しかし、切り取り方によっては、情報が不十分になるばかりか、まったく把握できなくなることもあるため、注意が必要です。 CBCTにおいては、MPR(多断面再構成)画像で断面ごとに異なる情報を効率的に読み取る手順が重要であり、病変を見つけるには歯および歯周組織の正常な構造を理解することが不可欠です。さらに、3D画像を活用することで、さまざまな断面から状態を確認でき、器具のアクセスの方法をイメージする際にも大いに役に立っています。 本項では、CBCTの読影の手順について、具体的な画像を交えながら詳しく解説していきます。相宮秀俊Hidetoshi AIMIYA吹上みなみ歯科[愛知県]院長・歯科医師愛知学院大学歯学部歯科放射線学講座CBCTの位置づけ特集2パノラマ・デンタルとどこが違う? 何が見える?CBCTでは、読影の手順が重要歯科衛生士のための 入門 CBCT
元のページ ../index.html#3