歯科衛生士 2025年2月号
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説明のPOINT国内ではフッ素濃度が明記してある歯磨剤が少ない。P.48P.49P.50Illustration:高村あゆみFebruary 2025 vol.49櫻井敦朗Atsuo SAKURAI東京歯科大学小児歯科学講座歯科医師[第1回]2016年に発売されるようになった高濃度のフッ化物配合歯磨剤(1,400~1,500ppmF)を、6歳以上には積極的に使用することが推奨されるようになりました(図1)。 しかし、新たな推奨では使用するフッ素の量がずいぶん多くなり、「このとおりに小児に使用して大丈夫なのか」という疑問が湧きます。よく知られているように、顎骨のなかで歯が形成されている途中の小児が過剰なフッ素を摂取すると、歯のフッ素症(斑状歯)というエナメル質の形成障害を招くことがあります。詳細は本文に述べますが、新たな推奨に基づき歯磨剤を使用するのはもちろん問題がありません。しかし、今後はこれまで以上に推奨量と使用回数をしっかり守って使用することが求められています。使用した歯磨剤の一部は摂取していることに留意するフッ化物歯面塗布やフッ化物洗口も併用する 2023年、日本口腔衛生学会や日本小児歯科学会など4学会の合同による提言「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」が発表されました1。とりわけ、小児に対する利用法には大きな変更がありました。実は、これまでも歯磨剤の濃度や量の利用ガイドラインはあったのですが、歯科衛生士の皆さまはともかく、一般にはほとんど知られたものではありませんでした。今回の推奨が一般の方々に浸透することを願っていますが、そのためには皆さまのご協力が不可欠です。 日本では現在、500~1,500ppmF(ppmは濃度が100万分のいくらであるかを示しています。以下、フッ素濃度をppmFで表します)の歯磨剤が多く市販されています。これまでは、6歳未満の小児に500ppmFの歯磨剤が勧められてきたのですが、海外では900~1,000ppmF未満の歯磨剤はう蝕予防効果が十分に得られないという認識がなされており、国内の基準もそうした流れに合わせる必要が出てきました。そのため、日本では歯が生えたらフッ化物を使おう年齢ごとに歯磨剤の適切なフッ素濃度・量は異なるうがいができなくても歯磨剤を使おう新しい歯磨剤の推奨利用方法をふまえ、小児のフッ化物の使い方を説明しましょう。P.51P.52患者説明用シート図1 小児に用いられる歯磨剤の一例47小児のフッ化物の使い方

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