歯科衛生士 2025年2月号
8/9

●臨床経験年数:7年目●2019年福岡医療短期大学専攻科口腔保健衛生学専攻修了●44歳●勤務形態:常勤●所属学会・スタディグループ:日本歯周病学会(認定歯科衛生士)、日本歯科審美学会(ホワイトニングコーディネーター)、日本歯科衛生教育学会、福岡看護大学大学院看護学研究科(在学中)●医院紹介:福岡市にある24の医科・12の歯科・50床の病棟からなる総合病院。所属する保存(むし歯)・歯周病科は歯内・修復・歯周治療を専門としている。Aya Kubota福岡歯科大学医科歯科総合病院歯科衛生士93[キーワード]行動変容、歯周基本治療、歯科恐怖症57歳(2022年初診時)、男性口臭が気になる中学生の時のう蝕治療を最後に45年ぶりの歯科受診高血圧:128/99mmHg、脈拍:78拍/分、服用薬:なしなしFebruary 2025 vol.49行動変容理論1を応用した歯周治療を行い、歯周基本治療のみで良好な結果が得られた症例を報告します2,3。 なお、本症例は第67回春季日本歯周病学会学術大会にてポスター発表を行った症例に、その後の経過を追加したものです4。 患者さんは「口臭が気になる」という主訴で、2022年に初診にて来院されました。13歳の時に治療した修復物が2年前に脱離していましたが、歯科への恐怖心と不安感から受診できずに放置されていました。長年にわたって患者さんの口臭を指摘してきた奥様からの強い勧めにより、45年ぶりに歯科受診を決意し当院を受診されました。 初診時の口腔内所見(次ページ図1)では、全顎的に帯状のプラークと歯肉縁上歯石の沈着、辺縁歯肉の発赤、腫脹を認めました。多量の歯石から、長年歯科医院と疎遠であったことがうかがえました。 デンタルエックス線写真(P.95図2)では、全顎的に軽度~中等度の水平性骨吸収、6根分岐部に透過像、6にいます。したがって、患者さんにもっとも身近な私たち歯科衛生士が、恐怖心と不安感を取り除きながら理解や協力を得ることが、円滑な患者マネジメントには重要と考えます。 今回、13歳の時を最後に45年ぶりに歯科受診した歯科恐怖症の50代男性に対して、十分なコミュニケーションによるラポール形成とプロチャスカ修復物の脱離も起きていたが、歯科受診できずにいた年齢、性別主訴歯科的既往歴全身的既往歴喫煙歴 歯科受診に対し、「怖い」「痛い」というネガティブなイメージをおもちの方は少なくありません。過去のトラウマから、歯科医院と疎遠になり、歯科治療を長期間受けていない患者さんも今回症例を紹介してくれるのは……症例をシェアして、ステップアップ!初診時の患者の基本情報窪田 彩さんはじめに誌上45年間歯科通院歴のない患者の口腔内環境が行動変容と歯周基本治療によって改善した一症例

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る