●臨床経験年数:5年目● 2020年徳島大学歯学部口腔保健学科卒業●27歳●勤務形態:常勤●所属学会・スタディグループ:日本ヘルスケア歯科学会(認定歯科衛生士)、ADF●医院紹介:「歯は再生しません」。このことを患者さんに認識していただき、う蝕・歯周病リスク等を正確に評価して治癒・長期安定に導くことを目標に、チーム医療を実践している。Ayu Inoueあべ歯科医院[徳島県]歯科衛生士患者さんの性格やセルフケアから、よい改善が見込まれると予想歯科に恐怖心がある患者さん年齢、性別主訴歯科的既往歴全身的既往歴喫煙歴 歯周基本治療の治癒過程で、歯肉が退縮して治るケースと退縮せずに治るケースがあります。個人差はありますが、歯肉が薄い人はプラークが付着すると辺縁歯肉に発赤と腫脹が起こり歯肉退縮して治ることが多く、それに対して歯肉が厚い人は発赤などの炎症症今回症例を紹介してくれるのは……[キーワード]歯周治療、禁煙、歯周病39歳(2023年初診時)、女性8の痛み3年以上ぶりの来院なし10本/日、20年前から107March 2025 vol.498の痛みを主訴に来院されました。喫煙歴があり、20年前から1日10本吸われていました。歯科は苦手で治療に対して恐怖心があり、3年以上ぶりに来院されたとのことでした。 口腔内所見からは、歯肉が厚く、腫脹がみられ、喫煙による歯肉への色素沈着、歯面への着色が認められます(次ページ図1)。また、骨隆起があり、噛みしめがあると考えられます。全顎的に水平性の骨吸収が認められ、歯肉縁下歯石の付着も多くありました(次ページ図2)。6mm以上の歯周ポケットが多く存在し、PCRは22.5%と極端に高い数値ではありませんでしたが、BOPが69.4%だったことから来院直前のブラッシングが疑われました(P.109図3)。 以上のことから、歯科医師により慢性歯周炎ステージⅠグレードBと診断されました。 治療計画(P.109表1)において、歯周治療とう蝕治療を並行して、再評価後に8の抜歯が行われました。噛みしめによる起床時の顎の痛みを訴えたため、ナイトガードが作製され、歯状は内部にとどまり炎症があっても見た目でわかりにくく、歯肉退縮せずに治ることを多く経験します。 今回は、歯肉が厚い重度歯周病で、禁煙に成功し歯肉退縮せずに治った症例について報告します。 患者さんは、初診時39歳女性で、症例をシェアして、ステップアップ!初診時の患者の基本情報井上 鮎さんはじめに誌上コミュニケーションを築きながら歯科への苦手意識を克服し、歯周組織の改善および禁煙につながった一症例
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