歯科衛生士 2025年4月号
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*説明のPOINTIllustration:高村あゆみ、関上絵美・晴香April 2025 vol.49馬場篤子Atsuko Baba福岡医療短期大学歯科衛生学科・教授歯科医師[第3回]科学会は、2023年4月に母子健康手帳の歯の形態・色調において、「異常あり」として記載したほうがよい例、記載の必要が必須でない例を示しました2。歯の形態および色調異常にはさまざまなものが存在します。健全な永久歯列獲得のために、早めに指摘しておくことが重要なものがある一方で、指摘することで保護者に過度の不安を与えないよう配慮することも大切です。 今回は、臨床でよく遭遇する形態異常歯について、どのように保護者に伝えたらよいか紹介します。あらためて自分の知識を整理して、患者さんの不安を軽くできるようになりましょう。母子健康手帳で「異常あり」としない矮小歯(円錐歯、栓状歯、蕾状歯)その他の形態異常中心結節 私たち歯科医師や歯科衛生士は、保護者から「保健福祉センター(保健所)の歯科健診で、“癒合歯”と言われたんです」など、形態異常歯について説明を求められることがあると思います。乳幼児が初診で来院したときは、医療面接の際に母子健康手帳の提示も求め、歯科に関する記載について確認しますよね。母子健康手帳は、妊娠・出産・育児に関する一貫した健康記録であり、かつ妊娠と乳幼児養育に関する行政情報、保健・育児情報が提供されるため、母子健康管理において非常に重要です。具体的には、妊婦健診や出産の記録、赤ちゃんの発育記録、予防接種記録などを記入し、就学前までのお子さんの健康記録として活用します。 歯科に関する記載は、妊婦では妊娠中と産後の歯科健診、乳幼児では1歳6ヵ月児および3歳児歯科健康診査時だけでなく、生後6~7ヵ月頃のページから始まり(口腔内の疾患や異常を記載する欄があります)、就学前までの口腔の健康診査の状況が記録できるようになっています。1歳児健康診査から歯の状態を診査する項目がありますが、その1つに、「歯の形態・色調」について異常なし・ありの記入欄があります(図1)。そこで日本小児歯母子健康手帳で「異常あり」とする癒合歯母子健康手帳で「異常あり」とする切歯結節(犬歯結節・基底棘)母子健康手帳で「異常あり」としないカラベリー結節51定期健診中などに発見した子どもの形態異常歯を保護者に説明しましょう。図1 母子健康手帳における1歳6ヵ月児の歯の状態を記載する欄の一例1P.56P.57P.52P.54P.55患者説明用シート*の画像は2024年3月号、5月号より転載。形態異常歯の種類

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