歯科衛生士 2025年4月号
8/9

● 臨床経験年数:31年目● 1993年愛知県立歯科衛生専門学校卒業● 51歳● 勤務形態:非常勤● 所属学会・スタディグループ:日本歯周病学会認定歯科衛生士、日本口腔インプラント学会インプラント専門歯科衛生士、㈱COCO DentMedicalインストラクター● 医院紹介:歯周治療・インプラント治療・矯正治療などを行い、約30名のスタッフで患者さんの長期的な口腔の健康維持を目指したサポートを行っている。Yayoi Ito月星歯科クリニック[愛知県]歯科衛生士継続される方が多くいらっしゃいますが、長い歯科受診のなかで身体的・心理的・経済的影響から、中断も少なからずあります。そのため、患者さんの生活背景や心身の変化、環境の変化などにも目を向け、対応していくのはメインテナンスを担う歯科衛生士の役割だと考えています。 今回は、度重なる中断が起こった患者さんの症例をとおして、再来院時に心がけておくべき点など、考察したことを提示いたします。 患者さんは初診時51歳の女性です。左上臼歯部に痛みがあり来院されました。7が重度歯周炎により保存が困難と判断され、抜歯が行われました。その後、歯科医師の指示により歯周組織検査を行うことになりました。 口腔内所見は、全顎的に歯肉の炎症、歯石の沈着がみられ、下顎前歯部の歯肉退縮が著しく、歯牙の挺出や正中離開も見受けられます(次ページ図1)。デンタルエックス線写真からは、歯肉縁下歯石の沈着や部分的に垂直性の歯槽骨吸収が見られ、プロービング値が6mmを超える部位も多数確認できました(P.99図2、3)。下顎前歯部や4には動揺も認め、11においては、ブラシを当てると動揺し、痛みも感じるため「しっかり磨けない」と患者さんはおっしゃっていました。 このような症状が起こる以前にも、当院に来院される1年程前に、4の歯肉が腫れたため、塩で歯肉をマッサージしたり、ブラッシング時には出血があったためパッケージに「歯周病用」と書かれた歯磨剤を選んだりする[キーワード]歯周治療、矯正治療、長期経過51歳(1997年初診時)、女性左上がズキズキ痛い11年前に当院にて下顎前歯の歯石を除去。う蝕治療は時期不明特記事項なしなし97April 2025 vol.49歯周病であると自覚していた患者さん年齢、性別主訴歯科的既往歴全身的既往歴禁煙歴 当院は、う蝕治療や歯周治療、ときに矯正治療も行い、予防からメインテナンスに至るまで、患者さんの口腔の機能回復や健康維持に努めることに力を入れています。歯周基本治療をはじめとする歯科治療が終了すると、口腔の健康維持に向けてメインテナンスを今回症例を紹介してくれるのは……症例をシェアして、ステップアップ!初診時の患者の基本情報伊藤弥生さんはじめに誌上歯科受診の中断や延期を繰り返す歯周病患者にかかわり続けている27年経過症例

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る