図2 正常な歯肉上皮の組織像應原一久 広島大学大学院・歯科医師(文献1より引用改変)(図1)。歯肉上皮は、口腔歯肉上皮、歯肉溝上皮、接合上皮の3つから構成されています(図2)。さらに、歯肉上皮の下には結合組織があり、その約60%はコラーゲン線維で構成されています。これらの線維は束を形成して規則的に並び、歯肉を歯面や歯槽骨に固定する役割を果たしています。健康な歯肉は、ピンクまたはコーラルピンクの色調で、硬く弾力性があり、出血が見られません。26正常歯肉、歯肉炎および歯周炎の歯肉の特徴を思い出してみましょう。 まずは正常な歯肉の組織像をおさらいしましょう。歯周組織は、歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨をまとめた総称で、これらの組織が一体となって歯を支えています。歯肉は歯と歯槽骨を覆う粘膜組織で、遊離歯肉と付着歯肉からなり、歯肉歯槽粘膜境までの範囲を指します図1 歯周組織の正常像歯肉PART1エナメル質CEJ歯周組織は、歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨をまとめた総称で、これらの組織が一体となって歯を支えている。歯肉は歯と歯槽骨を覆う粘膜組織で、遊離歯肉と付着歯肉からなり、歯肉歯槽粘膜境までの範囲である。歯肉上皮は口腔歯肉上皮、歯肉溝上皮、接合上皮の3つから構成されている。口腔歯肉上皮は歯肉の外縁の角化歯肉で、ブラッシングなどの物理的刺激から歯肉を保護している。歯肉溝上皮は歯肉の内縁の非角化上皮で、歯周組織からの滲出液が通過しやすくなっている。接合上皮はエナメル質と直接付着している部分で、免疫細胞が通過しやすくなっている。遊離歯肉付着歯肉歯肉歯槽粘膜境歯槽粘膜口腔歯肉上皮歯肉溝上皮接合上皮(上皮性付着)正常な歯肉1歯肉の基本
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