歯科衛生士 2025年5月号
8/9

2年程前から間欠的な痛みが続いている。4年程前に888を抜歯。定期健診の習慣はなく、痛みがある時のみ受診していた。その他の治療は10年以上前に処置し、覚えていなAoi Suzuki吉武歯科医院[神奈川県]歯科衛生士はじめに全身的にも不健康であった患者さん年齢、性別主訴主訴に対する現症1には歯肉の発赤、腫脹が認められた主訴に対する現病歴歯科的既往歴全身的既往歴家族歴服薬喫煙歴全身状態職業今回症例を紹介してくれるのは……症例をシェアして、ステップアップ!初診時の患者の基本情報鈴木 葵さん 歯周炎は、さまざまな全身疾患と関係していることが報告されています1。口腔の健康状態を改善するための歯科治療は、全身的な健康状態の維持にとっても欠かせないものと考えられます。歯周治療において良好な結果を得るためには、患者さんとの信頼関係の構築やモチベーションの維持、向上が重要で、歯科衛生士の役割は非常に大きいと感じます。筆者は患者さんとかかわるうえで、患者さんの訴えや話をよく聞くように心がけ、患者さん自身が改善したいと思えるようにサポートしています。今回は、広汎型侵襲性歯周炎の患者さんに対して歯周治療に取り組み、生活習慣が改善され、定期的なメインテナンスにつながった症例を報告いたします。 患者さんは初診時31歳の男性です。「左下前歯の歯ぐきが痛い」との主訴で来院されました。患者さんは以前に他院で歯周病を指摘された覚[キーワード]生活習慣、肥満、行動変容、モチベーション、歯科衛生士の役割31歳(2021年初診時)、男性左下前歯の歯ぐきが痛い何もしなくても重たい感じがする。い。脂肪肝、慢性蕁麻疹、花粉症母親は残存歯が1本で義歯を使用している。歯周炎により抜歯したとのこと。また、糖尿病に罹患しているが、HbA1cは不明。父親は疎遠により不明。花粉症に対して抗ヒスタミン薬(アレグラFX)喫煙歴はなし身長164cm、体重107kg、BMI 40.5空腹時血糖105mg/dL、HbA1c 5.6%、肝機能AST 87U/L、ALT 215U/L、中性脂肪215mg/dL、血圧129/74mmHgシステムエンジニア97May 2025 vol.49●臨床経験年数:8年目●2018年鶴見大学短期大学部歯科衛生科卒業●28歳●勤務形態:常勤●所属学会・スタディグループ:日本歯周病学会認定歯科衛生士、日本臨床歯周病学会、スタディグループ奥山会、スタディグループASC●医院紹介:当院は、日本歯周病学会専門医の副院長を中心に、健康、清潔、心を医院コンセプトとし、予防、歯周治療、歯科訪問診療をとおして、かかわった地域の方々の健康を支えられる歯科医院を目指しています。誌上生活習慣を改善し、SPTへ移行した広汎型侵襲性歯周炎患者の一症例

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る