Illustration:佐々木 純 CBCTはパノラマやデンタルエックス線写真では把握しにくかった骨や歯の3次元的な構造を可視化し、より精密な評価を可能にします。診断は歯科医師の仕事ですが、歯科衛生士が読影の知識を身につけることで臨床の幅が広がります。歯科衛生士としてCBCTの画像を正しく解釈し、診療補助に活かすことが求められています。 正常像を把握することは、病的な所見の識別に直結します。たとえば、健康な歯槽骨や歯根膜の厚みを理解していれば、異常な透過像の出現や吸収像の変化にいち早く気づくことができます。CBCTを活用することで、病変の範囲や進行度を立体的に把握し、患者さんへの説明や口腔衛生指導(OHI)にも役立てることが可能となります。 本特集では、前編(2024年10月号)でCBCTの撮影原理、中編(2025年2月号)で正常像の読影について解説してきました。最終回となる今回は、これまでに培った知識をもとに、その知識をより実践的に活用し、読影の精度を高めることを目指していきましょう。具体的には、歯科衛生士の日常臨床でもよく遭遇するう蝕、歯周病、エンドペリオ病変、歯根破折、歯肉退縮、セメント質剥離について、CBCTでの読影方法を掘り下げていきます。相宮秀俊Hidetoshi AIMIYA吹上みなみ歯科[愛知県]院長・歯科医師愛知学院大学歯学部歯科放射線学講座特集2パノラマ・デンタルとどこが違う? 何が見える?正常像を把握して初めて異常像に気づける72後編実際の症例で、読影してみよう歯科衛生士のための 入門 CBCT
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