歯科衛生士 2025年8月号
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全顎的に歯肉退縮、舌側・口蓋側に発赤・腫脹と歯列不正を認めた。● 年齢・性別:53歳( 2020年初診時)、女性● 主訴:左下歯肉の痛み● 現病歴:2週間前より左下歯肉の腫脹と疼痛を自覚し受診● 歯科的既往歴:数十年前のう蝕治療時、治療音への不快感が● 全身的既往歴:特記事項なし● 身体計測:身長160 cm、体重54 kg、BMI21(普通体重)● 産科歴:出産経験あり(1人)● 同居家族:実母、長男● 喫煙歴:なし● 性格:不器用で無口● 職業:事務員● 診断:広汎型慢性歯周炎ステージⅢグレード C強く、治療中断後放置。歯科受診に対して苦手意識をもつ ここからは、実際のケースをもとに、歯周治療の難易度や改善の可能性について一緒に考えていきます。治療計画を立案する際に大切なのは、初診時の評価と再評価時の変化を的確に分析すること、そして何より、患者さんの気持ちや希望に寄り添いながら方針を決定することです。 本症例の患者さんは、初診時から一貫して非外科治療を希望されていました。しかし、進行した歯周炎では、患者さん自身にもセルフケアや生活習慣の改善に積極的に取り組んでいただく必要があります(図 3 ~ 5)。歯科医療者と患者さんがともに努力することが、良好な治療結果を得るための鍵となります。図3 初診時の口腔内写真患者概要68P a r t 4非外科治療のみで進めた症例

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