歯科衛生士 2025年8月号
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南 里佳さんRika Minam i高田兄弟歯科・矯正歯科[愛知県]歯科衛生士症 例 を シェアし て 、ス テップ アップ !初診時の患者の基本情報はじめに● 臨床経験年数:13年目● 2013年新大阪歯科衛生士専門学校卒業● 33歳● 勤務形態:非常勤● 所属学会・スタディグループ:日本歯周病学会(認定歯科衛生士)、日本口腔インプラント学会(インプラント専門歯科衛生士)、日本臨床歯科学会(名古屋 SJCD)、JIPI、TNG、POD、DH study group Fairies● 医院紹介:歯科医師である実の三兄弟がそれぞれの専門分野で活躍するクリニック。成人矯正、小児矯正、歯周病治療、インプラント治療を専門としている。2 は外傷による歯根破折のため、抜歯の既往あり[キーワード]カウンセリング、歯周基本治療、歯周外科治療、矯正治療、連携32歳(2020年初診時)、女性全体的に歯ぐきが腫れた。一時期痛みもみられたが、今は落ち着いている(他院からの紹介)なし母親が歯周病により歯を失い、総義歯を装着している 今回は広汎型侵襲性歯周炎の患者さんに対し、歯周病専門医と矯正医、そして日本歯周病学会認定歯科衛生士である筆者で連携をとり、得られた学びを報告したいと思います。 患者さんは初診時32歳の女性で、歯肉の腫れを訴えて他院を受診されたところ、歯周病の専門クリニックでの受診を勧められ、当院へ来院されました。これまでは歯石除去のため定期的に通院されていましたが、3 ヵ月前の引っ越しを機に転院し、そこで初めて歯周病を指摘されたとのことでした。 全顎的に歯肉の発赤と腫脹が見られますが、歯肉縁上歯石の沈着はあまり見られませんでした。また、咬合関係は左右ともⅠ級関係ではあるものの、前歯部は開咬であり咬合の問題も懸念されました(次ページ図 1)。デンタルエックス線写真からは、年齢に比較して進行速度の速い全顎的な水平性および垂直性骨吸収が認められました(次ページ図 2)。歯周組織精密検査では全顎的に中等度から重度の深い歯周ポケットが認められ、BOP は約91 %、プラークに厚みはないもののPCR値連携して治療にあたるマルチディシプリナリーアプローチができる環境にあります。したがって、患者さんごとの治療方針が共有しやすく、診断の精度や治療の一貫性を向上させることができ、患者さんにとって満足度の高い歯科医療を提供できます。転院した医院で初めて歯周病と指摘された患者さん年齢、性別主訴歯科的既往歴全身的既往歴 特記事項なし喫煙歴家族歴 当院は日本歯周病学会認定歯周病専門医と矯正医が常駐する歯科医院のため、院内で複数の専門分野の専門家が今回症例を紹介してくれるのは……August 20 2 5 vo l.4 999誌 上不正咬合をともなう広汎型侵襲性歯周炎患者に矯正治療を併用し歯周治療を行った症例

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