歯科衛生士 2025年9月号
2/9

*1 システマティックレビュー:あるテーマについて質の高い研究論文を集めて、テーマ全体の結果を整理し、信頼できる結論を出す方法。*2 ドイツ科学医学学会連合(AWMF):150以上のドイツ国内の医学学会からなる1962年設立の団体で、医療ガイドラインの全国的な策定を統括し、世界保健機関(WHO)の国際医学団体協議会( CIOMS)でドイツ代表も務めている。エビデンスと合意の両方に基づく最上位の S3から、専門家の意見に基づく最下位の S1まで、作成の厳密さに応じた 4段階のガイドラインを定めている。*3 P I C O:臨床研究や文献検索を行う際に、研究の焦点を明確にするためのフレームワーク。具体的には、患者( P:Pat i e n t )、介入( I:I n t e r ve n t i o n )、比較対照( C:4つのワーキンググループによる会議全体会議図1 ワークショップの流れ EFPガイドラインは、EFP主導のワークショップ委員会監修のもと、ドイツ科学医学学会連合(AWMF)* 2のガイドライン作成手順および Grade(Grading of Re commendations Assessment Development and Evaluation)ワーキンググループの評価手法に基づいて作成されました。36の加盟学会から選ばれた歯周病の専門家による委員会が作られ、そのメンバーがガイドライン作成にかかわりました。90名余りのパネルメンバーにはコンセンサス会議(後述)での投票権があり、4つのワーキンググループに分かれて議論が行われました。さらに、非EFP 加盟国の専門家や医学的に中立的な立場(非専門家)のガイドライン作成に関する専門家が議論の進行をアシストしました(投票権はもたない)。患者団体の参加も検討されましたが、ヨーロッパレベルで歯周病に特化した団体が確認できず、今回は実現しませんでした。 EFPガイドラインは、最新の科学的根拠に基づいて作られました。そのために、合計15本のシステマティックレビュー 3 - 17が実施され、それぞれがPICO * 3から作成された明確な臨床的疑問(クリニカルクエスチョン)に基づいて、プロービングポケットデプス(以下 PPD)や臨床的アタッチメントレベル(以下CAL)といった重要な評価項目について分析されました。文献の検索は複数のデータベースを使って行われ、研究の質も厳しく評価されました。そして、結果はメタアナリシスなどの方法で統合され、信頼できる「推奨」が導き出されました。 このガイドラインの作成において、2019 年11月にスペインのLa Granja de San Ildefonsoで開催されたEFPワークショップでのコンセンサス会議が大きな役割を果たしました。ここでは、専門家が4 つのテーマに分かれて小グループで話し合いを行い、その後、全体会議で意見をまとめました(図 1)。September 2 02 5 vo l.4 9Comparison)、結果(O:Outcome)の 4 つの要素で構成される。Illustration:キタハラケンタ❶ 第1回全体会議でガイドライン作成の手順、評価の説明❸ 第2回全体会議で各グループによる修正案に対する予備投票とコンセンサスの強さの評価❺ 第3回全体会議(最終会議)で、修正結果の発表、再度の議論と予備投票、すべての推奨文について最終投票❻ ガイドラインの完成❷ 4 つのワーキンググループに分かれて推奨文や背景説明文の草案作成、初回投票❹ 意見が分かれた項目について修正案の再検討、グループ内で再投票27EFPガイドラインはどのようにして作成されたか?どれがおすすめ?

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る