歯科衛生士 2025年10月号
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acb?Q こと、全部答えます。AA2 頻度は低いといえますが、解剖学的に重症度は高くなる可能性があります。院長・歯科医師 完全埋伏では歯石が沈着する割合は少ないかもしれませんが、深部まで歯石が沈着していることがあります。また、深く埋伏している分、感染が広がったときには顎下部や頚部の蜂窩織炎に移行して危険な症状になることもあります。 解剖学的には智歯の外側より内側の皮質骨が薄いため(図1 c )、深い歯冠周囲に発生した膿は内側に逃げ道を作って顎下部に炎症が広がることがあります。顎下部に炎症が広がると気道を圧迫してしまうため、重症な感染症に移行します。 このように、浅い智歯は頻度が高いけれど重症度は低く、深い智歯は頻度が低いけれど重症度が高くなる可能性があることを知っておきましょう。図1 完全埋伏智歯(66歳女性)October 2 0 25 v ol. 4981パノラマエックス線写真では骨性 に埋 伏した 下 顎 智 歯 歯 冠 周囲に透過像を認める。CT 写 真 による前 頭 断。外 側 皮質骨が厚く、内側皮質骨が薄い。摘出歯において、歯冠の広範囲に歯石の沈着を認める。完全埋伏の歯石付着は、智歯周囲炎のリスクが高くなるのかどうか知りたいです。山城崇裕 やましろ歯科口腔外科[福岡県] 歯石の沈着は完全埋伏智歯にも起こることは知っておいていただきたいのですが(図 1 a b )、半埋伏ほど頻度は高くないと思います。ただ、半埋伏はオープンスペースが広いので膿の出口が広く、中にこもらない一方、食渣や歯石が奥に入り込みやすいと思います。Q2完全埋伏歯に歯石が沈着すると、智歯周囲炎のリスクが高くなるのですか?2 0 2 5 年上 半 期 1 こと、全部 答えます。

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