歯科衛生士 2025年12月号
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 患者さんの口腔内を見たときに、「あれ? これは天然歯? それとも補綴装置?」と迷った経験はありませんか。 近年の補綴装置は非常に精巧で自然に仕上がっており、特にセラミックやジルコニアの修復では、見た目だけで天然歯と補綴装置を区別するのは容易ではありません。けれども、歯科衛生士として補綴装置かどうかを見抜くことができなければ、誤った清掃指導や不適切なプロフェッショナルケアにつながり、補綴装置や歯周組織を傷つけてしまう可能性もあります。 さらに、補綴装置が複数装着されている口腔内では、清掃性が低下する可能性や、患者さん自身が気づかないリスクが潜んでいることも少なくありません。補綴装置の形態や材質によっては、プラークが付着しやすい要因や炎症を助長する要因となることもあります。そのため、補綴装置を“どのように見るか”によって、日常のセルフケア指導から定期的なメインテナンスの内容、さらには長期的な予後に至るまで大きく影響してくるのです。 口腔内を見たとき、まず「どれが天然歯で、どれが補綴装置なのか」を判別できることは、歯科衛生士にとって大切な第一歩です。最初は、「色も形もきれいだからわからない……」という経験をされる方も少なくありません。しかし、天然歯と補綴装置を区別できるようになると、リスクの見極めやセルフケア指導の内容が格段に変わってきます。 本特集では、補綴装置の入った口腔内を観察する際の基本的な着目点を整理し、補綴装置の種類や材質ごとにどのように捉えるべきかを解説します。さらに、実際の臨床症例を通じて、補綴装置を見抜く目、そして将来のトラブルを察知する目を養うためのヒントをご紹介します。補綴装置を正しく理解し、日々の臨床をより確実で充実したものにする一助となれば幸いです。天然歯と補綴装置を区別できると、見方が変わるインレーアンレー咬頭頂ラミネートベニアクラウン接着ブリッジ支台歯支台装置支台装置連結部ポンティックインレーアンレー咬頭頂ラミネートベニアクラウン接着ブリッジ支台歯支台装置支台装置連結部ポンティックインレーアンレー咬頭頂ラミネートベニアクラウン接着ブリッジ支台歯支台装置支台装置連結部ポンティックインレーアンレー咬頭頂ラミネートクラウン接着ブリッジラミネートベニア27December 2025 vol.49

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