JAO[Journal of Aligner Orthodontics]日本版 2024年No.6
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Journal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2024 vol.4 issue 6本連載では、矯正歯科治療ではおろそかにできないセファロ分析方法をわかりやすくお伝えします。画像に写る情報のとらえ方、治療につなげる地図の描き方、得た情報から解とデザインを生み出す方法を知り、使う装置の別にかかわらず効率的・効果的な治療の全貌をとらえる力となるはずです。90骨折や手術など外因による変形、繊維性骨異形成症などの腫瘍性疾患によるもの。健側の形態を目標として変形を修復する。矯正歯科治療の対象(顎変形症、口唇裂口蓋裂など)となる。上下顎の正常咬合獲得の後、歯列正中線を上顔面正中線に合わせることを基本とする。また、骨格の輪郭形成を必要に応じて行う。第一・第二鰓弓症候群、頭縫合早期癒合症など。患側のみではなく健側も含めた修正を考慮する。図2 顔面の対称・非対称顔面の対称性評価は、硬組織、軟組織それぞれに行われる。対称性良好な場合は両者の一致があり、眉間、内眼角間、鼻根、鼻尖、上下口唇正中、オトガイの直線的配置が認められる。しかし、そもそもの評価軸となる「正中軸」の設定には困難をきたすことが多い。まずは、正中軸の設定が明確な正面セファログラムの評価を手中にすると、軟組織評価に確信をもつことにもつながるであろう[参考文献5より引用改変]表1 顔面非対称症例の診断および治療計画立案に用いるタイプ分類 TypeⅠ変形が一部に限局し、咬合に関連せず突出(増生・過形成)もしくは陥凹(欠損・低形成)を示すもの保たれ、軟組織量の非対称の少ないもの 顎変形症として扱う顔面非対称は、「オトガイの側方偏位が大きいもの」と定義されているが、矯正歯科臨床ではもう少し広い範囲における訴えとして、顔面非対称を呈する症例にしばしば遭遇する。顔面の対称性は「正面から見た場合の対称性」ととらえられ、通常、軟組織に置かれる1本の縦の正中軸から判断される。この軸は眉間、内眼角間、鼻根、鼻尖、上口唇正中、下口唇正中、オトガイを通る1本の直線となり、正常の場合は顔面骨の正中軸に一致する(図2)4。顔面非対称症例の診断、治療計画立案にあたっては3つのタイプ分類を考慮する(表1)5。 またShahらの研究6は、顔面非対称に関する知見として以下のように参照すべき点が多い。◦ 対称性を有する好ましい顔貌でも骨格の非対称を有することがあり、骨格の非対称を軟組織が最小化する◦ 正常咬合を有する固体でも、非対称顔貌を呈することがある◦ 顔面を構造的に左右で分けると、左側より右側の方が有意に大きいセファロ友だちは顔面の非対称とは何を指すのかTypeⅡ非対称が咬合に関連し、かつ上顔面の対称性がTypeⅢ顔面全体の変形・ゆがみをともなう疾患

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