JAO[Journal of Aligner Orthodontics]日本版 2025年No.1
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※ 18歳の平均値として男女それぞれ13.5mm、12.9mmが示されているが、頭蓋の大きさによって変わることを考慮されたい図1 正面セファログラムの分析法(詳細は前号参照)。94 正面セファログラムは前回も示したように、特に非対称症例において、その存在意義を見出すことが多い。非対称症例に出会ったときに、骨格的に非対称があるのか否か、矯正歯科治療で治すべき非対称があるのか否か、非対称症例のどこを治せば良くなるのかなどを考えてみたい。今回示す2例は、歯並びを主訴に来院したdental age ⅢA、小学校低学年の症例である。いずれも上下顎歯列正中線にずれを有していたが、正面からの視診および正貌写真では、明らかな顔面非対称を認めなかった。こうした状況では正面セファログラムの診断が欠かせない。❶ 上下顎の関係上下顎左右の幅=上顎(jugal point:Jポイント)と正面顔面平面(frontal facial plane : Ag-ZF)との距離。JR to AgR-ZFRやJL to AgL-ZFLが大きい場合は上顎歯列弓の狭窄、臼歯部交叉咬合を示唆する❷ 正中線に対する上下顎の位置関係顔面正中線と上下顎歯列正中線(maxillo-mandibular midline)とのなす角度(正常=0°)❸ 咬合平面傾斜ZFR to MoR / ZFL to MoL 距離の差(正常=0mm)❹ 後方(顎角部)の対称性ZFR-AgR-ZAR角 / ∠ZFL-AgL-ZAL角の差(正常=0°)Journal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2025 vol.5 issue 1村松裕之 MURAMATSU Hiroyuki, D.D.S., Ph.D. 市川矯正歯科医院 〒192-0904 東京都八王子市子安町4丁目6-1 Phiビル 連絡先 E-Mail: mail@shinwa.or.jp症例で見る正面セファログラム診断日本版オリジナルページ [連載] 矯正分析に強くなる ベーシックを学び、診断力をつける・伸ばす村松裕之 [東京都・市川矯正歯科医院] 前回は、正面セファログラムのトレースや分析について解説した。今回は、正面セファログラムを用いることで治療方針を誤ることなく診断可能となるような事例を紹介する。昨今ではCTが歯科診療所に普及しており、側面・正面セファログラムの必要性が低下してきていると見る向きもあるが、「正中線」という基準平面のひとつをとってもCTではそれを決める手立てに欠ける。正面セファログラムというスタンダードをマスターすることで、顔貌写真やCTによる診断、治療計画の立案がより確実になる(図1)。第13回(最終回)正面セファログラム(正面頭部エックス線規格写真)[2]

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