上下顎歯列を正中で4分割する。各ブロックに乳歯あるいは未萌出歯が2歯以上、その分布が3ブロック以上にあれば適応となる。a:ブロック❶~❹に乳歯や未萌出歯が2歯以上あるため適応b:ブロック❶❷に乳歯や未萌出部が2歯以上あるが、ブロック❸❹には1歯しかないため非適応槽性の歯列弓拡大に不利である ※ ⅢA期からⅢB期にかけて歯列弓は大きくなり2、 歯列も変化する。しかしながらこの変化を予測することは非常に困難である(図2)。拡大のほうが重要であると考える ※ 不正咬合は中顔面の劣成長であり、中顔面の発育に顎複合体へのよい影響を期待する列が可能となる図3 筆者がアライナー矯正治療開始をⅢB期後期とする理由。図2 ⅡA期(a)からⅢB期(b)における前歯部叢生の自然な変化。は上顎歯列の前方拡大が必要と考えるため この条件下で考えると、適正な適応時期はⅡA期~ⅢB期後期となる(図2)。筆者は当初、Invisalign firstによる治療をⅢA期に開始していたが、現在では、前歯部の咬合干渉による顎位の偏位や歯肉退縮、上顎犬歯歯胚の位置異常などがない場合は、基本的にⅢB期後期に開始するようにしている。その理由としては図3に示した4つが挙げられる。 Schwarzの拡大床による歯列の移動は基本的に頬舌的な動きに限られ、既成型の矯正装置はその形状や設計に歯の移動量や様式が規定される。また固定式装置による歯列の移動は基本的に4前歯と第一大臼歯に限られる。しかし成長期のアライナー矯正治療が可能になったことにより、制限はあるものの、適切な治療計画に基づきすべての歯を任意の位置へ移動することが可能となった。また、上下のアライナーにプレシジョabab105メカニクスが変わる■1 6~7歳・ⅢA期の患者は上下顎骨が小さく、歯■2 混合歯列期の歯列の拡大は、側方拡大よりも前方■3 ⅢB期後期は上下顎骨のみならず上顎洞が拡大する時期であるため3、上顎洞や蝶形骨洞など鼻上■4 ⅢB期後期に矯正歯科治療を開始すると、治療期間中(18か月)に多くの永久歯が萌出するため、排■1 第一大臼歯が萌出している■2 切歯のうち少なくとも2歯が2/3以上萌出している■3 3/4顎に乳歯(乳犬歯、第一乳臼歯、第二乳臼歯)、あるいは 未萌出の永久歯(犬歯/第一小臼歯/第二小臼歯)が2歯以上ある●❶●❷●❸●❹図1 Invisalign firstの適応条件。●❶●❷●❸●❹Journal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2025 vol.5 issue 2
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