3 重度2 中等度1 軽度日本版オリジナルページ [連載] Force driven aligner orthodontics 適切なアライナー矯正治療のノウハウを身につける村上久夫 [長崎県・村上矯正歯科 / 長崎大学歯学部臨床准教授] 前歯部開咬は、固定式装置を用いた矯正歯科治療や保定の難度が高い不正咬合である一方で、アライナー矯正治療が有効な不正咬合である1,2。開咬は歯、骨格、あるいはその両方の組み合わせによって起こる。また指しゃぶりや舌突出癖などといった習癖や、口呼吸などとも関連している。 筆者が用いるInvisalignシステムにおける開咬治療難易度の評価は表1のとおりである。開咬の原因が骨格性ではなく歯性の問題にある場合、あるいは前歯部がフレアリングして歯間空隙がある場合には、アライナー矯正治療の予測実現性が高くなる。※治療難易度表にてすべての項目が緑の列に該当する場合は「軽度の治療」、ひとつ以上の項目が青の列に該当しかつ黒の列にはひとつも該当しない場合は「中等度の治療」、ひとつでも黒の列に該当する場合は「重度の治療」と考える村上久夫 MURAKAMI Hisao, DDS 村上矯正歯科 〒852-8135 長崎県長崎市千歳町2-18 連絡先 E-Mail: murakami@kyousei.name[インビザライン・ジャパン社資料より引用改変]0.5~1mm2.5~3.5mmなし<0.5mm<2.5mmなしあり1mm3.5mm121表1歯の移動種別による開咬の治療難易度分類外科手術臼歯部圧下前歯部挺出 上顎中切歯・側切歯の絶対的挺出の精度は55%であることが報告されているが3、アライナーは、開咬改善のために垂直的コントロールとバイトブロック効果の両方を可能にするとされる4。加えてG4以降のInvisalignシステムでは、上下顎切歯に最適アタッチメントを設置することにより、前歯部挺出のためのフォースを与えることができるようになった。この挺出用最適アタッチメントの追加により、切歯挺出の精度が以前よりも向上している3。 アライナーを用いた前歯部開咬の閉鎖は、臼歯部の圧下や前歯部の挺出、わずかな下顎のオートローテーJournal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2025 vol.5 issue 2第8回前歯部開咬に対するアライナー矯正治療[1]
元のページ ../index.html#5