Augusto Andrighetto, MSc, PhD Postgraduate Professor, ILAPEO, Curitiba, Brazil; Professor, UniCesumar, Curitiba, Brazil; Professor, Federal University of Parana (UFPR), Curitiba, BrazilCorrespondence to: Prof Augusto Andrighetto, Heitor Stockler de França, 396 – sl 1101, 80030-030, Curitiba/PR, Brazil. Email: arandri@gmail.com 矯正歯科臨床においては、アライナーを使用する機会が大幅に増加したことにともなってIPR(隣接面削合)が頻繁に用いられるようになり、大半のアライナー矯正治療適応症例の治療計画に取り入れられている。現段階におけるバーチャル治療計画機能では、IPRを適応する箇所について、疼痛の感じやすさ、IPRの既往、歯の形状およびサイズの不整など、実際の処置を妨げるだけでなく禁忌にさえなりうる局所的な要因が考慮されていない。IPRは侵襲的かつ不可逆的な方法であるため、マクロおよびミクロにおける特徴が天然歯に類似するように、歯冠の再形成を計画・実行する必要がある。 本論文の目的は、特にアライナー矯正治療における臨床的なIPRの活用について最重要ポイントをいくつか明らかにし、リスクを最小限に抑えつつ治療目標を達成できるようにすることである。 現在、アライナー矯正治療の人気が高まっていることから、IPRは矯正歯科臨床においてこれまでになかった役割を担うようになり、大半の症例で適応されている1,2。IPRの適応対象はさまざまであるが、もっとも一般的なのはアライメントに必要なスペースを確保する場合である3,4。また、前後的な歯の位置修正を補助するものとして5、あるいはサイズや比率を修正したり、形状の変化を調整したりするなど歯冠の解剖学的特徴の変更が推奨される場合にも用いられる3,6,7。 IPRを実施する理由が何であれ、コンタクトを適切に再構築し、生物学的距離を尊重した、天然歯におけるコンタクトで見られる特徴に類似した歯冠の適切な解剖学的形態を求める必要がある。歯面の滑らかさやムラのなさなどの、ミクロ的な特徴も考慮しなければならない。これらを達成するには、エナメル質の特性、歯の形態、口腔内にあるさまざまなコンタクトのパターンについて、事前に理解しておくことが不可欠である3,6,7。 したがって治療目的を達成し、歯と歯周組織の長期的な健康を維持するためには、綿密な治療計画を立案Augusto Andrighetto15Augusto Andrighetto翻訳:編集部キーワード アライナー、Invisalign、唇側固定式装置、口腔健康関連のQOL、痛覚、患者の視点Journal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2025 vol.5 issue 3レビュー論文緒言IPR:アライナー時代における研磨術
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