JAO[Journal of Aligner Orthodontics]日本版 2025年No.3
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図2 ダイヤモンドディスクを用いたIPR実施後の下顎左側第一小臼歯近心の状態(a)、幅2mmの手動式ダイヤモンドストリップを用いた歯頚部に対するIPR実施中の状況(b)、終了後の同歯近心の状態(b)。図3 幅4mmの金属製手動式ダイヤモンドストリップ。図4 ストリップホルダーに金属製ストリップを装着したところ。的形態とコンタクトの垂直的位置は、この点において直接影響を及ぼす。したがって削合をより慎重に行うことは、歯頚部でのエナメル質削合量を減らしつつ、適切な解剖学的形態を得るために必要な外形を作ることを意味する(図2)。より慎重な削合を行うもうひとつの利点は、将来的に後戻りを起こした際に再IPRを行う余地を残せることである。 IPR用の器具には手動式と機械式の両方があり、多岐にわたるこれらの器具は互いを補完するために用いることが多い28-31。手動式器具として金属製ダイヤモンドストリップ(図3)があり、IPRの各段階に合わせてさまざまな粒度が用意されている。またストリップホルダーに取りつけて使用することで、施術中のグリップおよび利便性が向上する(図4)。ストリップにはさまざまな幅のものがあり、それぞれ各症例の要件に応じて選択する必要がある。幅の狭いストリップは歯冠高径の短い歯や、歯冠の特定部分を削合する必要がある場合、たとえば歯頚部の外形形成時に(図2b)コンタクトが歯頚部に近づきすぎるのを防ぐ場合などに適している。 機械式の器具に関しては、ダイヤモンドディスクやバーのように回転式、あるいは往復運動を起こす振動式のものがある。ダイヤモンドコーティングディスク(図5)は、手動式ストリップと同様にさまざまなサイズと粒度のものが用意されている。さらに両面に研磨面があるもの、片面だけ研磨面があるものがある。後者はIPRをより綿密にコントロールでき、一方の隣接面のみの削合が可能なため特に推奨する。こちらを用いるもうひとつの利点は、IPR中にストリップを傾abc19IPR:アライナー時代における研磨術図5 メッシュタイプのダイヤモンドディスク。Journal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2025 vol.5 issue 3IPRに用いる器具

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