間所 睦 MADOKORO Mutsumi, DDS.白金高輪矯正歯科 〒108-0072 東京都港区白金1丁目29-13 2F 連絡先 E-Mail: info@shirokane-kyousei.jp日本版オリジナルページ 論考 口腔内写真を 1 枚撮るたびに、「どうかきちんと撮れていますように」と心の中で神頼み―そんなスリルとプレッシャーが、かつての医局の日常だった。若い読者には想像しにくいかもしれないが、アナログカメラで撮影した写真は、現像するまでどう写っているのか確認することができないのだ。ピントが合っていない、画角に収まっていないなどの失敗がわかれば撮り直しだが、すでに被写体は「次の外来」へと去っている。 われわれは外来診療が終わった後も、現像されたフィルムを患者ごとに分類し、上下左右の確認や反転など、写真の修正と整理に追われる。整理が済んだら、それらはカルテファイルに保管され、のちに必要になった際、われわれはカルテ倉庫へ捜索の旅に出かけることになる。そして、これらのファイルはつねに紛失や破損の恐怖にさらされている。エックス線フィル間所 睦間所 睦「 現 像 ガ チ ャ 」か ら ク ラ ウ ド へ― ア ナ ロ グ 医 局 員 が 見 た デ ジ タ ル 革 命 の 夜 明 け※本記事のイラストはテーマに合わせて AI(OpenAI)を用いて作成しています。現在の汎用性 AI の可能性と限界を確認してみてください。[編集部]キーワード 矯正診断、デジタライゼーション、シミュレーション、可視化、AI、3D プリンティングJournal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2025 vol.5 issue 4ムや石膏模型も同様で、資料管理は若手の「修行」だった。―そんな「アナログ矯正青春グラフィティ」を懐かしく思い出す方もいるだろう。 ところが令和の今、われわれが働く診療室ではカメラのシャッター音が電子音に変わり、CBCT のスキャンは数十秒、口腔内スキャナーは数分で歯列を3D データに置き換えることができる。棚を占領していたカル49デジタル矯正診断: 何ができて何を考えるべきか(前編)
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