JAO[Journal of Aligner Orthodontics]日本版 2025年No.6
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Julia Haubrich, Werner Schupp, Wolfgang BoisseréeJulia Haubrich, DMD Werner Schupp, DMD Wolfgang Boisserée, DMD Private practice, Cologne, GermanyCorrespondence to: Dr Werner Schupp, Hauptstrasse 50, 50996 Cologne, Germany. Email: schupp@schupp-ortho.deJulia Haubrich11 アライナー矯正治療は、若年・成人患者の固定式装置による矯正歯科治療に代わる重要な選択肢であり、潜在的な副作用の減少および審美的な治療選択肢を提供する。一方で、摩耗、歯の形態の変化、歯質の喪失を有する場合、患者が満足できる最適な治療結果を得るため、追加で修復治療が必要となる場合がある。これまでクラウンやベニア形成のために行われてきた健全歯質の削合は、近年のコンポジットレジン技術の進歩によって必要なくなり、さらに耐久性・審美性の両面でより優れた結果が得られている。本稿では、アライナー矯正治療とコンポジットレジンを用いた前歯部の低侵襲修復治療による包括的歯科治療の症例をいくつか供覧する。 アライナー矯正治療はデジタル化の進展にともない、この20年間で歯科矯正分野における治療選択肢として不可欠とされる地位を確立してきた。症例の蓄積およびバイオメカニクスの理解が進み、適応範囲はかつての軽度の叢生や空隙歯列に留まらず、今ではより複雑な不正歯列にまで拡大している1-26。また、3D データ処理を行う矯正歯科治療用ソフトウェアのさらなる発展により、矯正歯科医はワークフローを院内外のいずれで行うか、あるいは治療計画やアライナー作製プロセスの一部をサービスプロバイダに外注するか否かを選択できるようになった27。 インハウスアライナーを用いた矯正歯科治療は、臨床における決定的なイノベーションであり、有意義な付加価値をもたらすものである28-32。最初から最後まで治療計画を綿密に立案することで、歯科医師は個別の治療計画においてアタッチメントやステージングといったバイオメカニクスに関するすべての知識を組み込むことができるだけでなく、アライナー材料、その品質や厚さ、マージンの長さやトルク要素を選択することも可能になる。これは人工知能(AI)やアルゴリズムがあらかじめ定義できるものではなく、従来から矯正歯科医の責任のもとに行われてきたことである。歯科医師は自身の経験とバイオメカニクスに関する知識を基に歯の移動を評価し、それぞれの患者の状況に合症例報告緒 言翻訳:尾島賢治、檀 知里、熊谷友理子、渡邉仁資[東京都・スマイルイノベーション矯正歯科]キーワード アライナー矯正治療、アタッチメント、コンポジットレジン、インハウスアライナー、インターディシプリナリー治療、Invisalign、低侵襲修復治療、OnyxCeph Aligner 3D ソフトウェアJournal of Aligner Orthodontics 日本版日本版 | 2025 vol.5 issue 6アライナー矯正治療と 低侵襲修復治療による 包括的歯科治療

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