注意事項口腔外科からのコメント この2年間で,総合病院耳鼻科,口腔外科,腫瘍外科などを受診し,血液検査やカンジダ検査,内視鏡検査,頭部CTなどで精査を行いましたが,器質的異常は認められませんでした.当院でもアズノールの含嗽を3週間ほど行いましたが,痛みが改善しないため中止いたしました. なお,既往歴として,糖尿病(HbA1c 6.0~6.2),不整脈,不安症,があります.薬は,ビルダグリプチン(エクア®)メトホルミン(メトグルコ®)ビタバスタチンカルシウム(リバロ®)が投与されています. ご高診,ご加療のほどをよろしくお願いいたします.表1 舌痛症と鑑別を要する疾患.要因鑑別を要する疾患口腔粘膜疾患(扁平苔癬など),舌の悪習癖,不良補綴物,歯の異常,感染,アレルギー反応,化学的要因,ガルバニー電流,口腔乾燥局所要因貧血(ヘモグロビン・鉄・葉酸,ビタミンB12の不足),亜鉛の不足,シェーグレン症候群,内分泌系の変化(甲状腺機能低下,糖尿病,閉経),薬,逆流性食道炎全身要因心理的要因うつ病,不安症,心理的ストレス,がん恐怖①2017年に国際疼痛学会が「痛覚変調性疼痛」の概念を発表してからは,BMSも痛覚変調性疼痛の機序が関与する中枢性疼痛であろうと考えられるようになりつつある.末梢に奏効させる通常の含嗽剤や塗り薬は無効であることが多い.①BMSは舌痛症よりさらに広範囲の粘膜が痛む(図1)ため,苦痛が大きい.またBMSの知名度が未だ低いため,発症から正しく診断されて治療が始まるまでに平均2年ほどかかる.多くの病院を巡ってもなか②「特発性口腔顔面痛」に分類される疾患では,発祥の契機がはっきりしていることがある.多くは強い不安や恐怖を感じたときである.本症例のように,患者が「あのときから」という出来事があれば,簡単に記載してほしい.なか診断がつかず,得体の知れない痛みに強い不安を感じていたという患者が多い.本疾患の患者には,よくある病気で,悪い病気ではないことを伝え,不安を緩和してあげることが有益である.2-2-2 特発性口腔顔面痛① 舌痛症・口腔灼熱痛症候群65
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