ADVANCED_ ZYGOMATIC IMPLANTS_日本語版
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オリジナル術式における懸念点技術の進化図1-2 (a)ザイゴマインプラントを薄い口蓋側壁を通じて埋入してから1年後に撮影された上顎洞の断層画像。上顎洞に透過領域があることが確認できる。(b)その後3年経過し、特に明確な原因は見当たらなかったものの、患者は鼻副鼻腔炎と診断され、画像上で上顎洞内の不透過像が認められた。Lund と Mackay の X 線学的基準 5を適応した場合、鼻副鼻腔炎の発症率は35.7% に上昇する。2010年、Bedrossian は即時荷重プロトコルで治療された36名の患者に対する5~7年間の後ろ向き追跡調査を報告し、インプラントの残存率は97.2%であった6。その後2012年に、Aparicio らは22名の連続患者を対象とした最小10年間の前向き研究を報告した7。この研究では、Brånemarkによる元来の2回法プロトコルと、当時使用されていたチタン製機械加工のザイゴマインプラントが用いられた。9年目に1名の患者において、再発性副鼻腔炎をともなうインプラント周囲感染のため、2本の安定していたザイゴマインプラントが 除 去 さ れ た が、10 年 間 の 累 積 全 体 残 存 率 は95.12%であった。1998 年 に 初 め て 市 販 さ れ た オ リ ジ ナ ル のBrånemark ザイゴマインプラントは、 全面にスレッドがあり、機械加工されたものであった。インプラントヘッドは45°の角度が付いており、インプラントのトランスポーターおよびアバットメン ト は、 イ ン プ ラ ン ト ヘ ッ ド を 貫 通 す る ス クリューで固定されるデザインであった。インプラントは当初、エクスターナルヘックスコネクションが採用されており、術者が Brånemark システムの各種コンポーネントを効果的に使用できるよう設計されていた。口蓋側の穿孔を通じてインプラントを上顎洞内に貫通させることは、インプラントが安定しており、洞腔がしっかりと封鎖されている場合には、深刻な副鼻腔への悪影響を引き起こさないとされており、この点は14名の患者を対象とした内視鏡検査研究で確認されている8。しかし、Brånemark らが2004年に発表した研究では、28名中6名(21%)が急性副鼻腔炎の臨床症状を示し、そのうち4名は再発性の急性副鼻腔炎を経験した3。さらに4名(14%)は、画像所見のみで副鼻腔炎(慢性鼻副鼻腔炎)が確認され、鼻副鼻腔炎の全体的な発症率は35% に達した。この比較的高い割合の感染性副鼻腔障害の原因としては、インプラントのマイクロムーブメントや不正確な外科技術により、口蓋付近で上顎洞が十分に封鎖されなかったことが挙げられている。また、他の研究者たちは、アバットメントとインプラントヘッドのスクリュー接続部のデザインにより細菌が侵入し、炎症反応とそれにともなう骨吸収が引き起こされた可能性を指摘している。重要な点として、オリジナル術式で埋入されたザイゴマインプラントの経過観察を含む多くの研究では、副鼻腔トラブルや併発症の発症頻度について触れていないことが挙げられる。鼻副鼻腔炎の 発 症 が 報 告 さ れ て い る 場 合、 そ の 発 症 率 はHirsch らと Malevez らが2004年に報告した2.3~13.6% 程度の範囲であることが多い9、10。これに対して、Brånemark ら3、Becktor ら11、Farzadら 12の研究では、 副鼻腔炎の発症率はそれぞれ35%、29%、31.8% と高い値が示されている。Becktor らは再発性副鼻腔炎のため、臨床的には安定していた31本中3本のインプラントを除去する必要があったと報告している11。これらの問題ab3

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