adbecfgN第4章 Angle classⅡへの対応と長期経過898931312828強い下顎後退型facial depth 82°(平均値86)(平均値86)82821515444455上顎も後退位33332929-15mm39第 1 症例 長期経過中,十分な下顎成長が得られなかった 成長期 class Ⅱ 1 類の過蓋咬合症例に起因していると考えられるのではないだろうか.本章で提示する 3 症例は,いずれもこのような下顎後退型に該当する特異な症例である.nasion 垂 線 に 対 しA 点 は 平 均 で1.5mm(SD2.5)前 方,pogonionは-2.1mm(SD4.7)後方に位置していた.この結果からも,日本人のclass Ⅱ症例の多くは,下顎の後退症例 1 - 1 a~g セファロ分析の結果,下顎のオトガイ位を示すfacial depthは82°と平均よりも明らかに低く,nasion 垂線からの評価でも-15mmと著しい下顎後退位を示していた.それに対応するように,上顎(A 点)もnasion 垂線から後退しており,上顎前突とは言い難い状態である.むしろ,下顎後退型の様相を呈している.このような症例において,上顎小臼歯のみを抜歯すると,思春期の下顎成長にともない切端咬合となり,結果として下顎小臼歯の抜歯治療が後から必要になる可能性がある.したがって,上顎小臼歯の便宜抜歯によるclass Ⅱ finishによる治療を早期に決定すべきではない.しかし,本症例は家系的に下顎が小さい傾向が強く,遺伝的要因が関与していると考えられたため,結果,上顎第一小臼歯の便宜抜歯による治療を選択した.初診時(1984年 8 月,12歳10か月)
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