治る歯髄_治らない歯髄_ハイライトQ&A91
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不可逆性歯髄炎なのに,どうして全部断髄が治療方法として効果があるのですか?Q13歯髄壊死は歯髄全体が一気に壊死するのではなく,冠部から根部にかけて,徐々に進行するため,根部歯髄は保存可能な歯髄であることがあります.A13う蝕による歯髄の退行性変化図6 検査結果を正しく解釈するためには,歯髄の退行性変化を知ることが重要である.歯髄は炎症の内圧亢進により根尖まで一気に壊死しない.う蝕病巣からの細菌や炎症性メディエーターにより,歯冠側から徐々に壊死していく.う蝕の侵襲を受けた歯髄は,歯冠側より,壊死層,炎症層,健全歯髄層に徐々に移行する.感染がある部位に歯髄壊死が生じるのであり,炎症が歯髄壊死を起こすわけではない.炎症は結果であり,原因は細菌感染であることを理解しておかなければならない.不可逆性歯髄炎が全部断髄で治癒するしくみ図7 冠部歯髄の感染と壊死組織を除去することで,健全な根部歯髄または炎症を生じていた根部歯髄は治癒する.このような歯髄に直接覆髄や部分断髄を行っても治癒しないため,これまでは根管治療(抜髄)が行われていた.炎症炎症刺激物間質圧の上昇脈管を圧迫虚脱組織の酸素不足壊死組織破壊産物歯髄壊死歯髄炎健全歯髄保存不可保存可能いったん生じた炎症は負のスパイラルによりやがて歯髄全体に炎症が生じる昔の誤った考え方歯髄壊死は歯冠側から徐々に根尖側に進み歯髄炎,健全歯髄へと移行する今わかっていること炎症炎症刺激物間質圧の上昇脈管を圧迫虚脱組織の酸素不足壊死組織破壊産物歯髄壊死歯髄炎健全歯髄保存不可保存可能いったん生じた炎症は負のスパイラルによりやがて歯髄全体に炎症が生じる昔の誤った考え方歯髄壊死は歯冠側から徐々に根尖側に進み歯髄炎,健全歯髄へと移行する今わかっていること細菌感染の残存歯髄壊死歯髄炎健全歯髄不可逆性歯髄炎(冠部歯髄の一部が壊死)失敗治癒直接覆髄全部断髄42

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