治る歯髄_治らない歯髄_ハイライトQ&A91
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A29歯冠歯根破折が歯槽骨まで及んだが,歯髄を保存した症例(38歳,女性)(P.130の図87参考)は避けるべきです. 技術面では,一般的な外科処置を行わずに,破折部に対して質の高いコンポジットレジン修復または隔壁の形成を行う必要があります.そのためには術野の確保,出血のコントロール,ボンディング操作を的確に実行することが不可欠であり,マイクロスコープ下での精密な作業が推奨されます.場合によっては,高倍率のルーペによる処置でも可能かもしれません.骨整形圧排糸止血剤電気メス68歯肉縁下まで割れている症例は歯髄を残せますか? またラバーダムできないと思いますが,どうしたらよいですか?技術的には難しくなりますが,最初に歯肉縁下の組織を除去し,出血をコントロールして隔壁を作ることで,その後にラバーダムを装着し,歯を保存できるケースもあります.図10b 口蓋側破折片を除去した状態.破折は歯槽骨に及んでいた.図10e   ZOO に よ る 防 湿 を 行 い, ボ ンディング後,フロアブルレジンで隔壁を立ち上げる.図10a 咬合痛を主訴に来院. ₄が歯冠歯根破折している.口蓋側破折片が動いている.図10d 歯肉切除,骨整形,止血剤で出血のコントロールをした状態. 歯の破折が歯槽骨にまで及ぶ症例において歯髄を保存するには,細菌のマイクロリーケージを防ぐための適切な知識と技術が求められます.知識として重要なのは,マイクロリーケージを防止するために,即日または早急に質の高い修復(隔壁)を行う必要性を理解することです(図10).健康な歯質を縁上に確保するために,歯周外科を行って歯肉の治癒を待つ方法が一般的かもしれませんが,この方法では治癒期間中の質の低い仮封により歯髄壊死が生じるリスクがともなうため,時間を要する方法図10c 電気メスで歯肉切除後, ラウンドバーにて骨整形を行い,止血剤を置き,圧排糸で出血をコントロールする.図10f ラバーダム防湿を行い, 断髄を行った.Q29

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