治る歯髄_治らない歯髄_ハイライトQ&A91
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Q46A46NGNGエアをかけてよいエアをかけてはいけないGOOD図35 マイクロスコープを使用していれば,歯髄組織の有無を確認できるので,エアが歯髄象牙質複合体を剥がしながら根尖孔外に到達することは考えにくい.マイクロスコープを使用していない場合,歯髄組織の有無を確認できないので,歯髄組織がない症例にエアブローすることで気腫のリスクがあるかもしれない. 歯髄の診断において,マイクロスコープを用いてエアブローで象牙質から歯髄組織が剥離するかどうかを確認することは,重要な診断指標の 1 つと考えています.   ご質問のとおり,「エアブローによって気腫が生じるのではないか?」と心配されることがあります.しかしながら,筆者自身の経験や周囲の臨床家のなかでは,現時点でエアブローが原因で気腫が発生したという報告はありません.その理由として考えられるのは,マイクロスコープ下で歯髄組織の存在を明確に確認したうえでエアブローを行っており,エアが根尖周囲にまで到達していないためだと考えられます. また,歯髄の退行性変化の原則を考えると,歯髄壊死は歯冠部から根尖部に向かい徐々に進行するため,冠部歯髄が壊死していても,根尖部に健全な歯髄または炎症性の歯髄が残存していることが多く,その部位は歯髄象牙質複合体が存在しているため,エアがそれを剥がしな92歯髄の診断をする際に先生はエアをかけていますが,気腫になりませんか?そういった経験はなく,知人からも聞いたことがありませんが,マイクロスコープを使用していない場合はエアブローを用いた診断をすべきではないかもしれません.エアをかけるのはしっかり歯髄が残っているケースに限るため,エアが歯髄を剥がしながら根尖部に影響を与えることは考えにくいです.がら根尖孔外に到達することは考えにくいです.言い換えれば,根管内に明らかな歯髄組織が存在しない状態でエアブローを行うと,エア圧が根尖部にまで伝わる可能性があり,気腫を引き起こすリスクが生じます.したがって,そのような場合にはエアブローは控えるべきです. また,そもそも根管内に歯髄組織が存在しないと診断できた時点で,エアブローによる確認自体が不要であり,理論的には気腫が起こるリスクはきわめて低いといえます.つまり,歯髄組織の残存の有無を確実に診断できない場合には,エアブローは行うべきではありません.とくにルーペや肉眼のみで診断している場合には,エアブローの使用は避けたほうが安全かもしれません.筆者はもともと「マイクロスコープを用いた歯髄の診断」としてのエアブローを用いた方法を報告しており,ルーペや肉眼での使用を想定していません(図35).

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