2)破損のリスク 不適切な支台歯は、歯質強度の低下につながり、噛む力に対して弱く、破損しやすくなることがある。3)歯周病の進行 支台歯の形状や位置が不適切だと、周囲の歯肉が炎症を起こしやすく、歯周病のリスクが高まる。4)咬合機能への影響 不適切な支台歯形成では、咬合関係に影響し、咬合力の不均一化により補綴装置や支台歯に過度な負担がかかる。5)審美性の低下 辺縁の位置や形態が不適切であると、審美性に影響を及ぼす。1. 不適切な支台歯形成による弊害 (図 7 ~ 9)図 7 不適切な支台歯形成の例スムースでない軸面とジャンピングマージンが見られる。いずれも CAM による加工の妨げとなる。16Part 1 IOS を使用した補綴装置製作成功のカギとは IOS による光学印象を行うにあたり、不適切な形成や歯肉圧排の弊害を、以下に整理する。これらの問題を避けるためには、正確な技術と適切な診断が不可欠であり、患者の口腔の健康を守るために、十分に注意を払う必要がある。1)適合性の低下 支台歯の形状が不適切だと、補綴装置の適合性が低下し、脱離やそれにともなう破折の危険性が上がり、さらに辺縁漏洩や二次う蝕のリスクが増加したり、咬合の不具合を引き起こす可能性が生じる。また、過度な歯質切削による歯髄への刺激となることがある。不適切な支台歯形成・窩洞形成および歯肉圧排の弊害3
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