抜歯手術 上
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122 口腔外科医に依頼される抜歯は難度の高い埋伏智歯の抜歯が多いが,難しい抜歯は埋伏智歯ばかりではない.高齢者の残根抜歯では,歯質が軟化していたり歯根の肥大や骨性癒着があって埋伏智歯の抜歯よりも難渋することがある.そのような歯を手際良く抜歯するためには,歯,歯槽骨の状態から抜歯の難易度を見極め,状況に応じた方法で抜歯することが必要である.本稿では,いわゆる「難抜歯」とされる歯を手際良く安全に抜歯するための手技について詳述する.難抜歯とは 鉗子やヘーベルによる通常の操作で抜歯できるものは普通抜歯とよばれる.これに対して,歯肉の切開や切除,歯根分割,歯肉骨膜弁の挙上,骨削除などの補助的外科処置を要する抜歯を「難抜歯」という.英語ではsurgical extraction,あるいはopen extractionと表現されている. 難抜歯となる歯は必ずしも埋伏歯ばかりではなく,単根歯の正常萌出歯や残根歯であっても,歯根肥大や骨性癒着など歯と骨の状態によっては難抜歯になりうる.「難しい抜歯」という意味では,全身的な基礎疾患や使用中の薬剤のために特別な処置や配慮を要する場合,あるいは開口障害や嘔吐反射があるために抜歯が難しい場合などもあるが,本稿では抜歯すべき歯や周囲の骨に問題があり,抜歯にあたり補助的な外科処置を要するものについて述べる.難抜歯の要因と術前診査 どのような歯であっても,安全に手際良く抜歯するためには術前の口腔内の診査,エックス線画像検査が重要である.難抜歯はとくに入念な診査が必要である.1難抜歯の要因 難抜歯になる要因を図1に示した.これらの要因の有無について口腔内診査,エックス線画像検査を行って抜歯の難易度を評価し,具体的な抜歯方法について検討する.一般的には図2に示すような歯が難抜歯になりやすいと思われる.2術前診査(1)口腔内診査 口腔内診査により,①開口量,②患歯の直視,器具の直達が可能か,③器具操作のためスペースは十分か,④歯の位置(叢生,転位など),⑤萌出状態(捻転,埋伏など),⑥歯冠の状態(形態,大きさ,歯質の硬さ),⑦歯肉の状態(増殖や根面の被覆の有無),⑧隣在歯との関係(中間欠損で隣在歯が傾斜してきていないか),などを確認する(図3).(2)エックス線画像検査 デンタルエックス線写真,パノラマエックス線写難抜歯1

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