第6回下顎臼歯部遊離端欠損におけるインプラント治療の基本 硬組織編BasicBasic 前回までは、下顎臼歯部の一歯欠損におけるインプラント治療について基本事項を述べ、基本症例のインプラント手術を動画で解説してきた。第6回の今回は、臨床現場で頻繁に遭遇する下顎臼歯部の遊離端欠損に対するインプラント治療について、基本事項を整理し、動画で解説していきたい。 一歯欠損では、残存歯によって咬合が維持されていることも多く、局所的な欠損はあっても両隣在歯によって硬・軟組織の全体のボリュームは維持されていることが多い。一方、多数歯欠損の義歯を長期にわたって使用してきたケースなどでは、咬合の低下によるクリアランスの減少や歯槽骨幅の狭図1-a 初診時のパノラマX線写真。₇は根尖部付近まで骨吸収があってブリッジは動揺しており、保存不可能と診断した。図1-b ₇抜歯後1週の口腔内写真。抜歯前の感染にともない歯槽骨が水平的に吸収している。窄、また角化粘膜が減少していることも多く、インプラント治療の設計が複雑になりやすい。そして複数の抜歯窩が、抜歯後の治癒した歯槽骨と共存する場合の設計はさらに複雑になり、綿密な治療計画の立案が要求される。 インプラント治療では、全身から口腔全体、そして局所の検査・診断を行っていくが、機能性と予知性の高いインプラント補綴を提供するには、診断用ワックスアップが必須である。まずは理想的な補綴設計、それから硬組織と軟組織の検査・診断を行い、治療計画を練っていく。図1-c インプラント埋入直後。₈の抜歯と同時に埋入を行った。₇部は抜歯窩の骨縁に合わせて埋入し、ギャップには後方の骨を破骨鉗子で採取して填塞した。100Quintessence DENTAL Implantology─ 0984動画で学ぶ インプラント外科 基本の「き」インプラントを深く埋入してしまった症例(図1)はじめに遊離端欠損におけるインプラント治療の検査・診断と治療計画白鳥清人 Kiyoto Shiratori静岡県開業:医療法人社団 白鳥歯科
元のページ ../index.html#5