高血圧狭心症病尿糖第6回(最終回)内分泌疾患・その他インスリンのはたらき1型糖尿病2型糖尿病Basic糖尿病の病態 糖尿病と聞くと、焼肉食べて、ビール飲んで、メタボ体型のおっさん(筆者?)というイメージが浮かぶかもしれません。確かに摂取カロリー(糖)が消費カロリーを上回った状態が続けば糖尿病へまっしぐらなのですが、それにはインスリンが大きくかかわっています。われわれが生きるということは、結局のところ細胞が生きるということであり、そのためのエネルギーは細胞内のミトコンドリアによって糖と酸素から作られます。そしてインスリンは糖が細胞内に移動するために必要なものなのです(インスリンが糖を分解するのではありません;図1)。 インスリンは膵臓から分泌されるので、膵臓に異常があればインスリンを作れない「1型糖尿病」、焼肉を食べすぎれば(しつこい)大量のインスリンが必要となって、当初ははたらいていた膵臓が疲れてインスリンを分泌する能力が低下し、さらに細胞に対するインスリンの効きも悪くなって糖の取り込み能力が低下する「2型糖尿病」となるのです。いずれの場合も細胞内に取り込まれなかった血液中の糖は、尿と一緒に体外に捨てられます(=糖尿)。また、インスリンが不足したり効きが悪くなったりすると、細胞は生きていくためにエネルギー源としてタンパク質や脂肪を分解します。糖尿病が進行すると痩せてくるのはこのような理由によるのです。Basic 1年間続いた本連載もいよいよ最終回です。そこで、これまで触れてこなかったもののインプラント治療を希望する患者さんに合併していることの多い、糖尿病、バセドウ病、パーキンソン病、薬剤アレルギーと、ステロイド服用者について、病態や治療法、インプラント手術を行うにあたっての注意点についてお話しいたします。インスリン血管ブドウ糖が細胞に入るための扉を開ける細胞ブドウ糖インスリンが不足&効きが悪インスリンを作れないためくなり、糖の取り込みが減る細胞に糖を取り込めない図1 インスリンのはたらきと糖尿病。(文献1より引用・改変)106Quintessence DENTAL Implantology─ 0990はじめに糖尿病砂田勝久 Katsuhisa Sunada日本歯科大学 生命歯学部 歯科麻酔学講座こんな患者が来院したら─有病者のインプラント手術における全身管理─
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