Quintessence DENTAL Implantology 2024年No.6
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第5回角化粘膜を増やすFGG(遊離歯肉移植術)112Quintessence DENTAL Implantology─ 0996AdvanceAdvance 前回は、歯槽頂から舌側・口蓋側に存在する角化粘膜を広げることで2mm以上の角化粘膜幅を得る方法を解説した。ただし、広げる方法は術後長期にわたって持続的に収縮する傾向があるため、既存の角化粘膜幅がある程度ないと必要な角化粘膜幅を維持するのは難しい。 インプラント埋入時や二次手術時に残存している角化粘膜幅が少ない場合や、歯槽頂部の軟組織の垂直的高さを維持したい場合、長期にわたってインプラント周囲に角化粘膜幅を維持したいという場合には遊離歯肉移植術:Free Gingi-val Graft(以下、FGG)が必要となる。また角化粘膜の必要性は前回解説したが、意図した角化粘膜幅が獲得できな(mm)7.006.005.004.003.002.001.000.00手術(35)2週(35)1ヵ月(35)2ヵ月(35)N=角化粘膜幅(mm)3ヵ月(35)6ヵ月(35)9ヵ月(35)1年(35)1.5年(35)2年(32)角化粘膜幅の収縮率(%)4年(31)3年(31)経過期間5年(31)6年(28)7年(24)8年(24)かったり、経時的なMGJ(歯肉‐歯槽粘膜境)の後戻り、軟組織の退縮によって治療後に角化粘膜が喪失することもありうる。そのため、プロビジョナルレストレーションあるいは最終補綴装置装着後に角化粘膜を獲得する手法としてはFGGが第一選択となる。 FGGは1963年Bjornにより最初に報告された手法1で、口蓋(上顎)から遊離歯肉移植片を採取し、移植床に固定することで天然歯/インプラント周囲に角化粘膜を獲得する手法である。インプラント周囲に「角化粘膜を獲得する」という点ではもっとも効果的な手法である2。FGGは移植後短期的に収縮を示すが、その後は長期にわたりその大きさを維持し(%)40%35%30%25%20%15%10%5%0%−5%9年(24)10年(18)11年(16)12年13年(12)(11)図1 FGG後の経年的な角化粘膜幅の変化と収縮率。術後半年以降は、10年以上の長期にわたって安定した結果である。なお、*は前調査時から有意な収縮、減少を示す。(文献3より引用・改変)Soft Tissue Management令和版 軟組織のトリセツはじめにFGGの効果─APFとの違い─増田英人 Hideto Masuda大阪府開業:ますだ歯科医院

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