Quintessence DENTAL Implantology 2025年No.2
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becfadる3。インプラント周囲炎の明確なリスク因子は、歯周炎の大特集図1-a〜f 多くの歯が自然脱落し、病的移動を起こす歯も存在する。根尖に及ぶ骨欠損を認める歯も多数存在する。Quintessence DENTAL Implantology─ 0198広汎型侵襲性歯周炎患者に対するインプラント治療臨床論文はじめに重度歯周炎患者に対するインプラント治療18岩野義弘Yoshihiro Iwano東京都開業:岩野歯科クリニック 歯周病は成人における歯の最大の喪失理由であり、歯周病によって歯を喪失した部位への欠損補綴として、インプラント治療は大変有効な手段である。しかしながら歯周病が歯周病原細菌の感染によって生じる、歯周組織の喪失をともなう慢性炎症性疾患であるがゆえに、インプラント治療上留意すべき点が多く存在する。 本稿では歯周病患者に対するインプラント治療において留意すべき点について、症例を基に考察する。 歯周炎に罹患すると、付着の喪失が生じるとともに支持歯槽骨が吸収する。歯周炎が重度になると喪失する歯槽骨量は増加し、それにともない軟組織も委縮するため、そのような条件でインプラント治療を行う場合には、失った硬・軟組織の増大が必要になる。重度歯周炎患者ではさらに、歯の病的移動をともなう咬合崩壊が生じていることが多く1、そういったケースにインプラント治療を行う際には、矯正歯科治療を含む包括的アプローチが必須となる2。しかしながらそのような種々の困難を克服したうえでも、重度歯周炎患者にインプラント治療を行うことは、咬合の安定、残存歯の保護、歯の削合の防止といったさまざまな点においても大変有効であるため、患者に大きな利益をもたらす治療法である(図1)。 歯周病患者に対するインプラント治療において留意すべき点として、高いインプラント周囲炎発症リスクが挙げられ歯周病患者における歯の保存とインプラント治療上の留意点

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