Quintessence DENTAL Implantology 2025年No.2
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第8回上顎臼歯部のインプラント治療の基本図1 上顎臼歯部の歯槽骨の上顎洞底までの垂直的な平均高さは、小臼歯部で10mm、大臼歯部で7〜8mm程度である。(文献1より引用・改変)118 前回までは下顎臼歯部のインプラント治療について基本症例のインプラント手術を図と動画で解説してきた。第8回となる今回は、上顎臼歯部のインプラント治療について、基本事項を整理し、図と動画で解説していく。 上顎臼歯部では、上顎洞の存在により骨量が垂直的に不足しインプラント治療が困難になることが多い。有歯の上顎臼動画で学ぶ インプラント外科 基本の「き」Quintessence DENTAL Implantology─ 0298上顎臼歯部に使用するインプラントのサイズはじめに上顎臼歯部の解剖学的考察Basic歯部の垂直的骨量は、平均7〜10mm程度(図1)1であり、抜歯後には上顎洞の含気化により上顎洞底はさらに下がる。そして、抜歯の原因が歯周病や歯根破折の場合などでは歯槽骨頂からの骨吸収もあり、抜歯された部位の垂直的骨量はさらに減少する2。また、骨量が十分残っている部位では抜歯後の時間経過とともに海綿骨の骨梁は減少し、骨質が悪化していることも多いため、注意深い検査が必要である(図2)。Basic 上顎臼歯部の垂直的骨量が10mm以下の場合では、使用するインプラントの長径によって選択する外科術式は大きく変わってくる。機械研磨されたインプラントが多く使用されていた2000年以前の長期経過を報告した論文では、長径10mm以上と10mm未満のインプラントが比較され、前者のインプラントの成績が良かったことから、10mm以上のインプラントの使用が推奨されていた3。一方、ラフサーフェスのインプラントの使用が多くなった2000年以降の長期症例の研究では、8mmのインプラントでも、10mm以上のインプラントを使用した場合と比較して残存率に有意差はないとする報告が多い4、5。そして、長径6〜7mmのインプラントにおいても、それ以上の長いインプラントと比較し残存率に有意差はないとする報告が多い6、7。 筆者は、通常8mm以上のインプラントの埋入が計画できれば、上顎洞へのアプローチは行わずそのまま単純埋入を行Basic前鼻棘眼耳平面上顎洞底10mm7mm8mm白鳥清人 Kiyoto Shiratori静岡県開業:医療法人社団 白鳥歯科

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