第7回非審美領域におけるさまざまな軟組織マネジメントの組み合わせ これまでの連載で説明してきたように、非審美領域においてはリッジプリザベーション、即時埋入、切開縫合の工夫、埋入深度の調整、APF(歯肉弁根尖側移動術)、FGG(遊離歯肉移植術)といった方法を使って、インプラント周囲に2mm以上の角化粘膜幅を確保し、3〜4mmの軟組織の垂直的な高さを得て、さらに可能であれば軟組織の厚みを得るようにマネジメントしていく。複数歯連続欠損(欠損予定)部であれば当然、部位ごとに状況が異なり、違う対応が求められる。上記手法を同時に組み合わせて行うことで手術回数や侵襲を減らし、治療期間を短縮することができる。 非審美領域の複数歯連続欠損の場合、プロビジョナルレストレーションが装着されるまで患者は機能的に大きな不具合を抱えることが多くなるため、筆者は、口腔内の状況はもちろん、患者の年齢や要望、病歴、エビデンスを鑑みて、なるべく治療期間を短く手術回数を減らすことを念頭に置いて、どうすることが患者にとって「機能・期間・費用」の点でもっともメリットがあり、リスクが許容できるのかをふまえて個別対応を行っている。そこで今回はさまざまな軟組織マネジメントを組み合わせて対応した症例を提示したい。 まずは、3歯連続中間欠損部位に対して、2本のインプラントを支えに近心カンチレバーのブリッジを選択することで低侵襲かつ短期間の治療を行った症例を供覧する。 複数歯連続中間欠損の中で3歯連続欠損は、検討事項がとても多い。まず考えなければならないのは、インプラントの本数と補綴方法であり、以下の3つの選択肢がある。1.3本のインプラントを埋入し、単冠で治療する方法2.3本のインプラントを埋入し、連結冠で治療する方法3.2本のインプラントを埋入し、ブリッジで治療する方法 このような場合、インプラントを3本埋入する必要はなく、2本のインプラントでも同等の臨床結果が得られることは以前より示されていた1、2が、ミシガン大学で臼歯3歯連続欠損に対して3つのパターンでインプラント治療が行われ、その予後を評価した研究結果3が非常に興味深いので紹介したい(表1)。本研究ではインプラント残存率、インプラント周囲炎発生率、補綴的合併症発生率のどれもが、インプラント2本でブリッジタイプの補綴装置を装着する場合に良好な結果となっている。このような背景から、筆者は3歯連続欠損の場合は2本のインプラントを埋入し、ブリッジで補令和版 軟組織のトリセツSoft Tissue ManagementQuintessence DENTAL Implantology─ 03041241.リッジプリザベーション、切開縫合の工夫を併用したインプラント治療はじめにAdvanceAdvance3歯連続欠損部へのインプラント必要本数、配置について増田英人 Hideto Masuda大阪府開業:ますだ歯科医院
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