Quintessence DENTAL Implantology 2025年No.3
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Hsun-Liang(Albert) Chan/Yi-Chu Wu(訳:中田光太郎) 手術用顕微鏡(Operating Microscope、以下OM)は歯周治療やインプラント治療を行ううえで多くの利点を提供する。本分野における90年代の先駆者たちによるこれまでの努力が、歯周再生・形成処置や前歯部インプラント即時埋入手術におけるOMの使用に焦点を当て、その基礎を築いた。現在は技術の進歩、口腔創傷治癒の理解、低侵襲な歯周組織再生療法の出現、そして患者からの審美的要求の高まりにより、OMのより広範な使用を推奨できる絶好のタイミングである。 本総説では、OMが提供できる4つのおもな技術的利点を“TEAM”アプローチと名付けて要約する。“TEAM”アプローチとは、デリケートな組織の取り扱い(delicate Tissue han-dling)、病因の特定と除去(identification and removal of Etiol-ogy)、重要な解剖学的構造の管理(management of important Anatomical structures)、低侵襲な考え方(Minimally invasive mindset)の4つである(表1)。これらの利点は最近の文献によって説明され、臨床例によって実証されている。 OMを使用することの技術的な利点は十分に認められており、医科診療と歯内療法診療の両方にうまく取り入れられる重要な要因となっている1。歯周病治療やインプラント治療においても、同様の理由からOMの使用は増加傾向にある。再生医療の時代において、その使用は予測可能な結果を得るために不可欠である。OMは、ここで紹介する“TEAM”アプローチを可能にする。そして、新たなエビデンスによると、このアプローチが臨床的および非臨床的成果の向上につながることを示唆している2、3。 “TEAM”という頭文字は、OMを使用する際の4つの重要な側面を表している。“T”は、デリケートな組織の取り扱いを意味する。歯周組織のマネジメントの際に、特に薄い組織のフェノタイプ(厚さ1mm前後)や狭い歯間乳頭(幅2〜3mm)は、かなりの集中力と微細な触覚スキルを必要とする。これらの処置は、OMの支援によってより予測しやすくなる。“E”は、病因の効率的な同定とその処置を意味する。歯周病の効果的な治療およびインプラント周囲疾患は、デンタルプラーク、歯石、不良修復装置、解剖学的問題、歯根破折などの根本原因を認識し、対処することが重要である。OMは、これらの疾患を正確に診断し、治療する能力を高めはじめに0439 ─Vol.32, No.3, 202579特別企画緒言マイクロサージェリーによる予知性の高い歯周・インプラント関連処置─“TEAM”アプローチ─

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