Quintessence DENTAL Implantology 2025年No.3
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第1回再現性のある総合歯科医療を提供する歯科医院づくり 筆者が愛知県名古屋市で新規開業してから、早いもので12年の月日が経った。その中で、社会から求められる歯科医療そのものの立ち位置や役割も大きく変化してきたように感じる。2012年にチェア3台、スタッフ4名で産声をあげた「なみき通り歯科」だが、現在ではチェアだけでも20台を超え、スタッフは100名を超す、いわゆる大型歯科医院となった。 それと同時に、見学に来られる歯科医師をはじめとした歯科医療従事者の方々は年間100名を優に超える。そういった中で、見学される先生方からよく聞かれるご質問として、「スタッフマネジメントと教育」、「雇用関係」、そして「出口戦略を含めた今後のビジョン」などが挙げられる。 われわれ歯科医師はすぐれた臨床家であると同時に、すぐれた経営者でなくてはならないと筆者は考えている。しかしながら、歯科医院経営について学ぶことや伝えることは非常福利厚生等・退職金制度 ・社宅制度あり ・金山駅から無料送迎 ・託児所あり・講習会費支給 ・資格取得支援 ・学会費支給 ・院内勉強会・診療マニュアルあり ・研修カリキュラムあり・歯科医師 22名 ・歯科衛生士 31名 ・歯科技工士 4名 ・放射線技師 2名・管理栄養士 6名 ・保育士 6名 ・その他:受付、助手、クリーニングスタッフ、事務、ドライバー100Quintessence DENTAL Implantology─ 0460総合歯科医院のつくり方なみき通り歯科(2025年現在) 開業:2012年9月 全スタッフ数:112名はじめに:連載を始めるにあたってBasicに難しい。なぜならば、多くの歯科医院において業務と経営は密接に結びついているため、学んだとしてもそのスキルを日々の診療と並行して実践するのが困難であったり、マーケティングが限局的で地域性やターゲット患者によって経営戦略が異なったりするためだ。そもそも歯科医師は診療技術を磨くために多くの時間を費やすが、経営やマーケティングの教育を受ける機会がないまま開業することがほとんどで、ベースとなる知識が浅いことも大きな問題であろう。 筆者自身も今までは臨床をテーマとした講演を行ってきた一方、歯科医院経営をテーマとした講演は極力お断りしてきた。理由は「有益な情報を伝える自信がない」ことと、「再現性がない」と感じていたからである。しかし、昨今はたくさんの見学やご質問をいただく傍ら、経営ではなくて「自分自身の経験とビジョン」を伝えるのであれば、お役に立てる可能性があるのではないかと考えるようになった。そのような折に、クインテッセンス社から「医院づくり」というテーマをいただき、筆を取らせていただく運びとなった。安藤壮吾 Shogo Ando愛知県開業:なみき通り歯科・矯正歯科

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