第8回Soft Tissue Management表1 CTGによる軟組織マネジメントの効果106 前回まで非審美領域における軟組織マネジメントを解説してきた。今回からはいよいよ審美領域におけるインプラント周囲の軟組織マネジメントをお伝えしていく。審美領域における軟組織マネジメントは軟組織の厚みや高さを増す必要に迫られることが多く、CTG(結合組織移植術)を用いることが多くなる。 CTGはさまざまなタイミングで応用できる1というのも大きな特徴であり、CTGによって得られる軟組織マネジメントの効果を表1に示す。ただしCTGはテクニックセンシ1.欠損部の失った顎堤のボリュームを増やすことによる審美的な効果2.厚みを増すことで術後の唇側辺縁軟組織の退縮を防ぐ効果3.厚みを増やすことでアバットメントによるディスカラレーションを防ぐ効果→3mmの厚みがあればディスカラレーションは起きないが、2mmの厚みだとチタンアバットメントの場合、ディスカラレーションが見られる24.厚みや高さを増すことで辺縁骨吸収や唇側骨の吸収を防ぐ効果3、45.インプラント周囲粘膜炎、周囲炎のリスクを軽減する効果5ティブで出血や壊死などの合併症もあるため、取り組むのに躊躇されたり、試みたけれどやらなくなったりしたという声もよく聞く話である。さらに、近年では侵襲を減らすことのできる結合組織移植片の代替材料も開発・応用されるようになってきている(未承認材料)。そこで今回は、この結合組織の採取にフォーカスを当て、深掘りしていきたい。 CTGで使用する結合組織は、口蓋もしくは上顎結節(欠損歯槽堤)から採取する。必要なボリュームを質の高い組成で安全に採取するためには、口蓋および上顎結節部の粘膜の厚みと組成、血管の走行を理解することが重要になる。まずは口蓋粘膜から解説したい。 口蓋粘膜や上顎結節の粘膜の厚みについては歯周プローブによるボーンサウンディングや超音波検査、CBCTなどによるいくつかの研究で示されている6〜8。それらの中で、SongらはCBCTを用いて韓国人100名の口蓋粘膜の厚みを計測している8(表2)。この研究結果では男性のほうが女性より有意に厚く、加齢とともに厚くなっていく傾向があることが示され、またUenoらは同じくCBCTを用いて日本人44名の口蓋粘膜の厚みを計測している9(表3)。 これらの検査結果から口蓋粘膜の厚みは個人差が非常に大きいということを前提条件としたうえで、犬歯・小臼歯に比Quintessence DENTAL Implantology─ 0466粘膜の厚み令和版 軟組織のトリセツ口蓋粘膜の特性結合組織移植に関してAdvanceAdvance増田英人 Hideto Masuda大阪府開業:ますだ歯科医院CTGの採取部位と採取法
元のページ ../index.html#8