第10回審美領域のインプラント治療における軟組織マネジメントの基本事項42Quintessence DENTAL Implantology ─ 0842134令和版 軟組織のトリセツ増田英人 Hideto Masuda大阪府開業:ますだ歯科医院スコア01267531不完全完全(閉鎖)不完全完全(閉鎖)少し異なる( 1 〜 2 mm)あまり差がない(< 1 mm)ある程度自然自然ある程度豊隆十分豊隆一致している一致しているはじめにAdvance評価項目1 .近心歯間乳頭2 .遠心歯間乳頭3 . 辺縁軟組織のレベル4 .辺縁軟組織の形態5 .歯槽突起6 .軟組織の色調7 .軟組織の質感Soft Tissue Management図 1 、表 1 Pink E s t h e t i c Score。(文 献 1より引用・改変) 第 8 、 9 回と審美領域の軟組織マネジメントにおいて多用する結合組織について深掘りした。今回は審美領域のインプラント治療を成功に導くための基本事項について解説したい。 審美領域の軟組織マネジメントの目標は、インプラントの長期安定性を獲得するための「インプラント周囲に 2 mm 以上の角化粘膜幅を獲得し、辺縁骨吸収を防止するための 3 〜4 mmの軟組織の高さ、 軟組織の退縮を防止するための2 mm 以上の軟組織の厚みを獲得する」という非審美領域のゴール設定に加え、隣在歯と調和のとれたボリューム、質感の唇側軟組織・乳頭様組織を獲得し、それを長期的に安定したものにしていくことだと考えている。 審美の難しさは最終的には患者の主観的評価によって決まることであるが、われわれが目標とするのは客観的な評価法で高い点数を得ることができるようにインプラント周囲軟組織をマネジメントすることである。客観的な評価法にはさまざまなものがあり複合的に評価すべきではあるが、誌面の都合上、今回は評価者間信頼性や妥当性が高い 1 とされるPES(Pink Esthetic Score)を使用したい。 PES 2 はFürhauserらが提案したインプラント単独歯修復における軟組織の評価法であり、 7 つの項目から成る(図1 、表 1)。各項目を 0 〜 2 点でスコアリングし、最高点は14点となる。何点以上であれば審美的にすぐれている/許容されるという明確な基準はないが、PESで高い点数を得るためには、軟組織をどう扱うかだけではなく、症例選択やインプラントポジション、補綴装置のエマージェンスプロファイルの与え方、硬組織増生などさまざまな要件を達成していくことが必要である。欠損欠損大きく異なる(≧ 2 mm)不自然豊隆不足明らかに異なる 少し異なる明らかに異なる 少し異なる
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