QDT 2024年11月号
1/9

QDT Vol.49/2024 November page 1206Case 1Apr 2011 to Jun 2012Case 2Jul 2023 to Feb 2024歯科医師・さとうデンタルクリニック秋田県仙北市角館町田町下丁11-1 筆者のこれまでの歯科医師人生の中で多大な影響を受けた師は、卒後お世話になった秋田大学附属病院口腔外科の高橋 哲先生(秋田大学附属病院口腔外科 講師・当時)である。当時の高橋先生は、若くして明確な目標をもち、研究だけでなく臨床に対しても自分に厳しく取り組まれていた。その姿勢は、未だ学生時代のぬるい生活感が抜けきらない腑抜けた自分にとっては大きな衝撃だったとともに、「俺はいったい何をやっているんだ!」という焦りのようなものがこみあげてきたことを昨日のことのように思い出す。今思うと、これが後の筆者の原動力になったのではないかと思う。 その後、自分自身も口腔外科という分野に魅了され、このままこの道を進みたいという衝動にも駆られたが、もともと筆者の最終目標は、地元の角館(秋田県仙北市)に戻り開業することだったので、口腔外科以外のことを学ぶために規模の大きい歯科医院に勤務することとした。そこでも多くのことを学んだが、何かが物足りないという気持ちが強くなり、口腔外科時代の同僚である相場隆広氏(秋田県・あいば歯科医院)とともに3年ほど構想を練り、2004年に「一水会」というスタディグループを立ち上げることになる。 一水会のコンセプトは、師をもたないフリーエデュケーションの会である。良い面としては、だれしもが並列で何でも意見を言い合えるところにある。その反面、当時20代だったわれわれが指導者なしに、それぞれが必要な治療の技術を学び持ち寄っていたため、会が成り立っていくのかは未知数であった。 今回提示する症例は、まさにその時代に必死にあがいていた自分そのもののような内容となっている。18はじめに佐藤洋司 Yoji SatoFeature article #1─振り返りから学ぶこと─今ならこうする補綴設計・治療計画

元のページ  ../index.html#1

このブックを見る