QDT Vol.49/2024 November page 1227咬合再構成におけるクロスマウントテクニックの有用性とその手技について(前編)図1 咬合再構成が必要なケースにおいては、解剖学的にも生理学的にも安定した顆頭位を決定し、その位置で新しく咬頭嵌合位を確立すべきである。通常、その顆頭位を中心咬合位とよんでいるが、その位置は顆頭安定位と一致、さらに習慣性閉口運動の終末位である筋肉位での顆頭の位置とも一致するものと考えられる。この顆頭位での咬頭嵌合位を中心咬合位とよぶ(参考文献2より引用)。図2 咬合再構成症例では、下顎位が病的に偏位しているため、治療のどこかで中心咬合位へ収束させなければならない。そのため、複数回プロビジョナルレストレーションをやりかえる必要があり、その都度クロスマウントテクニックが登場する。*1PVR:Provisional Restoration(プロビジョナルレストレーション)*2ICP:Intercuspal Position(咬頭嵌合位)*3CR:Centric Relation(中心位)初診1st PVR*1オープンバイトレコードクロスマウントテクニックFinal PVRクローズドバイトレコードクロスマウントテクニックICP=CRバイト最終補綴装置39中心位≒顆頭安定位≒筋肉位咬頭嵌合ストレーションをやりかえる必要があり、その都度クロスマウントテクニックが登場する(図2)。 昨今、デジタル機器が普及し、印象採得から咬合採得、補綴装置製作までデジタルで完結できる症例が増えてきている。筆者の医院でもデジタル機器を活用しているが、咬合再構成における上下顎歯列のマウントには、アナログの手法であるクロスマウントテクニックを必ず取り入れるようにしている。 今回は、前後編を通じてクロスマウントテクニックについて解説していきたい。ICP*2≠CR*3バイト中心咬合位について咬合再構成における治療の流れとクロスマウントテクニック
元のページ ../index.html#4