連載 QDT Beginners Manual for Dentist ラバーダム防湿榊 航利Kazutoshi Sakaki 今回は、前歯部・臼歯部領域でセラミックス等の修復装置を接着する際のラバーダム防湿法について解説していきたい。 接着時にラバーダム防湿を行う利点は、確実な防湿により湿度をコントロールできることである。支台歯への前処理では歯面清掃時に歯肉から出血したり、サンドブラスト時に粉末が口腔内に飛散したりすることがあるが、それらを防止することもできる。さらに、修復装置の口腔内への脱落を防止することや、周囲の歯や修復装置などを保護することも目的に挙げられる。 一方、デメリットは、ラバーダムにより修復装置の装着が困難となる場合があることや、クランプの爪(beak)が当たり修復装置などを損傷してしまう危険性があること①クランプが安定性に欠ける場合は、コンパウンド、シリコーン、レジンなどで固定する。②接着する歯のフィニッシュラインが歯肉縁付近にある場合、クランプやフロス、テフロンテープを用いる。である。また、周囲の歯や対合歯などの情報が失われるが、これは複数歯の修復装置をまとめて接着する場合に、より不利な条件となる。 接着修復における接着時にラバーダム防湿を活用することは重要ではあるが、すべての症例で可能であるとはいえない。優先すべきは、確実な修復装置のシーティングと接着である。 臨床における接着の手順は、①口腔内の清掃、②試適、③麻酔、④修復装置の前処理、⑤ラバーダム防湿、⑥支台歯の前処理、⑦装着、⑧余剰セメント除去、⑨研磨である。それを踏まえ、以下にラバーダム防湿を行う際に注意すべき点や工夫すべき点をケース別に解説していく。歯科医師:カズトシデンタルオフィス神奈川県川崎市麻生区万福寺1-12-1 クロスアベニュー新百合1F-C号室80QDT Vol.49/2024 December page 1382はじめに連載QDT Beginners Manual for Dentist今回のポイント第4回(最終回) 修復装置の接着時におけるラバーダム防湿法ラバーダム防湿
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